森野眞弓展「WATER MARK 2004 -NEW HEATGRAPHS-」

ギャラリー池田美術

終了しました

アーティスト

森野眞弓

30年以上にわたり森野眞弓は、「事物の実存」への問いかけを自らに課し、実験的な制作をつづけてきた。'70年代に、帽子・リンゴ・ロープなどの日常的な単体をモチーフとした銅版画により国内外で高い評価をえた。——作家は、'80年代後半に、フェルト地をバーナーで焦がすヒートグラフという手法を独創し、さらにネクタイという日常的象徴をおびた単体をモチーフに、実験的な造形をつづけた。・・・2004年の本展では、俯瞰的な「液状の混沌」と見えた世界から、敢えて「混沌の有り様」そのものへ近づいている。対象に向かう焦点をぐっと絞りあげ、「溶解した混沌」にジリジリと接近する。接近を可能にするため、素地のフェルトは厚さを増し、これを焦がす火勢はさらに強さを加えた。そして、出現したものが「WATER MARK——水の痕跡」である。この「痕跡」は、初期作の帽子やリンゴなどの単体の凝視へと、その始源を辿ることができよう。作家の営為は大きな円環を描いて、再び「単体の有り様」に立ち戻りつつあると見える。

スケジュール

2004年11月15日(月)〜2004年11月27日(土)