日本のクラフト手もう一つの生活

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家事からハイテクまで、「手」は人間のあらゆる営みの原点です。しかし、工業化、情報化の進んだ今日、私たちの暮らしから「手」の仕事は急速に失われようとしています。漆のお椀を手に、その縁にそっと唇を添えてみそ汁を味わう暮らし、履き物を脱ぎ、床の上でくつろぐ日本ならではの生活文化の中に、今、私たちが求める真の豊かさがあるのかもしれません。日本の文化は、気候風土、自然との共生と調和の心をその基層にもっています。そして古来、諸外国から様々な文物を進んで受け入れながら、すでにあるものと大きく対立させることなく調和させ、統合することで和様化を図ってきました。近代のテクノロジー産業にもこの精神、「クラフトマンシップ」と「クリエーティビティ」は引き継がれています。日本の陶磁器、木、竹、漆、金属、紙、染め、織りなどの技術は、こうした背景の中で磨き上げられてきたものです。自然環境に優しく、無駄を省き、長く愛用するに足るものを作るというもの作りの姿勢こそは、時代が求める先端技術といえるかも知れません。本展は、日々の暮らしを豊に生き生きさせる作り手とその作品を、様々な工芸の領域から選び出し、これをクラフトと位置づけて紹介するものです。「手」と自然素材を中心とした良質な仕事と、確かな手応えをもつ道具のある暮らし“もう一つの生活”を、見て、触れて、実感して下さい。

スケジュール

2005年9月29日(木)〜2005年10月25日(火)