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並木恒延漆芸展

セイコーハウス銀座ホール
終了しました

アーティスト

並木恒延
雄大な富士から、舞妓、翡翠(かわせみ)、多摩川の水辺、月景色……。並木恒延氏描く漆絵の世界の多様性には目を瞠るものがある。氏の作品は研出蒔絵や螺鈿、卵殻などの漆芸技法を用いながら、絵画的表現という漆のもつ新たな可能性を追求してきた。
東京芸術大学でヴィジュアルデザインを学び、一度社会に出た後、再び母校の大学院で漆芸を学ぶという異色のキャリアを持つ並木氏は、「紋様のアレンジで表現されて来た漆の世界を覆したい。もっとその場の空気を感じるようなものを描きたい」という思いからの出発だった。
漆の色といえば黒と朱に尽きるとされた中で、氏が求めたものはまったく異なる色の表現。堅牢な漆黒の空間に、蒔かれた金粉が朧(おぼろ)で微妙な世界を表出し、白を使わなくても雪や霧を感じさせ、また淡く金を蒔いた谷間に色を塗り込むことで透明感のある叙情性が現れる。さらに伏せ彩色の技法を用い白蝶貝の裏にピンク色の箔を貼ることで、淡くもあでやかな染井吉野が咲き乱れ、また金箔やプラチナ箔できらめく陽光や雪の世界を創造する。漆という特性ある素材と技法を駆使して表されるのは、漆黒の中に多彩な色を感じる豊饒な世界なのである。
今回、和光ホールでの3回目となる個展は「山河大海」と題される。近年、より近づいた緻密な世界に題材を求めていたが、思いきって離れて見る景に構想を求める。瀑布、荒波、流れ、雪景色……。今惹かれている鶉(うずら)の卵殻を使ってぼかしを入れる白の描写表現を通して「風と音を描きたい」と意欲を燃やす。かつて山岳部だったという氏が描く山や河、そして海。寄せる波、とどろく滝。心に響く音に耳を澄ませたい。日本の風土の空気感まで見事にとらえた100号からミニアチュールまでの50余点、壮大な美の競演に心を奪われることだろう。

スケジュール

2005年11月12日(土)〜2005年11月19日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
年末年始休館
入場料無料
会場セイコーハウス銀座ホール
https://www.wako.co.jp/exhibitions/
住所〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6F
アクセス東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅B1出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目8番出口より徒歩4分
電話番号03-3562-2111