福士朋子展「近くの現象学」

アート・＆・リバー・バンク

終了しました

アーティスト

福士朋子

福士朋子の「近くの現象学」は、これまでの平面作品に加え、コマ割りマンガを組み合わせたユニークな作品です。平面の作品は、淡い抽象的な形象、かすかに具体的な形状が立ち上がる、デリケートで思索深いもの、一方マンガは、作家自身の分身であるラッキーちゃんが、社会や美術業界の奇妙なシステムの中で悪戦苦闘する自虐的なもの。ハイアートとサブカルチャーが、相互にその外部に参照点を持つことでそれぞれの狭さや問題点を露出させ、けれども再びそれぞれの魅力で輝くこと、福士の作品の奇妙なバランスは、その可能性を探ろうとしています。
作品と、より直接的に状況を語るマンガという二つの形式に引き裂かれてしまっていることの苦悩。主観と客観という二分された世界を、知覚を頼りにひとつの世界立ち返らせようと試みたモーリス・メルロ＝ポンティの『知覚の現象学』からタイトルを借りていることからも、福士の問題意識がほの見えてきます。

スケジュール

2005年4月16日(土)〜2005年4月30日(土)