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小林敬子染織展―自然の移ろいの世界を美しく―

セイコーハウス銀座ホール
終了しました

アーティスト

小林敬子
暗い夜、雲の切れ間から顔をのぞかせた月が刻一刻と動く様を表現した絵絣「月光」。薄く張った氷が溶けていく朝、早春の到来を表した「うすらひ」、あるいは浅い春、新芽が萌えたつ様を緑のグラデーションで表現した絵絣「山粧(やまけ)ふ」。また「黄の譜」には、夕べ、格子戸から差し込む光の調べを経絣に織るなど、小林敬子さんの紬織りには間(あわい)、空気、移ろいなど、瞬時に体得した感覚的な世界が織り込まれる。
草木染めによる機織りに打ち込んで30余年。個人の師につく道を選ばず、ここまで繊細な表現を可能にするまでには、人並み外れた向上心と努力があった。龍村美術織物の染め職人、吉田富太郎氏から絹糸の練りと草木染めを叩き込まれ、型絵染の重要無形文化財保持者・鎌倉芳太郎氏からは図案の基礎と制作姿勢を、結城紬糸の研究者・水島繁三郎氏には、絵絣の種糸の作成を徹底的に仕込まれるなど。その道の第一人者の門を自ら叩き、機織りの基本となるべき技術を徹底的に我がものとしたのである。習得に費やされた月日は、修業というべき苦闘の時間。しかし、教えが厳しければ厳しいほど「これをやり抜かなくては」と自らを叱咤激励したという。住まいのある岡崎市は三河湾を臨む自然に恵まれた土地。
「この辺りは土質が豊かなので、植物から鮮やかで深い色を得ることができます」と美しく透明感ある草木の染め色を得ることにも余念がない。
経緯(たてよこ)真綿紬による絵絣から始まった小林さんの織りは、やがて植物の命を写す色の不思議に目覚めて色調に執着した経絹糸を用いた経絣の紬へ、さらに熨斗目(のしめ)などへと。多くの受賞や入選を重ねてもなお、一つ一つ飽くことなく扉を開けて新しい世界を追求してきた。和光ホール初個展となる今回は、着物50余点、帯30点、綜絖を繰りながらの昼夜織帯など意欲的な作品が展示される。

スケジュール

2005年11月1日(火)〜2005年11月9日(水)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
年末年始休館
入場料無料
会場セイコーハウス銀座ホール
https://www.wako.co.jp/exhibitions/
住所〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6F
アクセス東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅B1出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目8番出口より徒歩4分
電話番号03-3562-2111