ポーラ ミュージアム アネックス17世紀、ヨーロッパの画家たちは特殊な装置、カメラ・オブスキュラを使って絵画の構図を決めていました。なぜならばこの装置は「一点透視法」による画像を忠実になぞることができたからです。この装置にはレンズが付いていて、後のカメラの原型となりました。私たちは二つの目でモノを見ていますが、一つの目で見ることで、モチーフを冷静に捉えることができます。風景や静物画を描く場合、筆などを使って片目でバランスや調子を見てデッサンや絵画の構図を決める所作はこの原理を応用しているのです。フェルメールの絵画や同時代の静物画が写真的描写であるのは、画家がこのレンズ付きのカメラ・オブスキュラを使用していたからだと言われています。一方、レンズの代わりにピンホールから差し込む光でゆっくりとフィルムに被写体を映し出していく針穴写真は、レンズとは違い絵画のような描写が特徴です。特に田所美惠子が写し出す「静物」は、生命力と温もりをも感じさせ、まるで「光の絵筆」で描いたような芸術写真といっても過言ではありません。空気の移ろいまで表現した不思議な魅力を持つ田所美惠子の世界を一人でも多くの皆さまにご覧いただけるよう願っております。
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