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「真空と過密 − 岡本太郎の絵画空間」展

川崎市岡本太郎美術館
終了しました

アーティスト

岡本太郎
「芸術における空間とは、まったく空気を抜いた絶望的な真空、虚であるか、でなければぎっしりと、みじんの隙もなくつまったものである、と私は信じるのです。」(岡本太郎「光琳論」『日本の伝統』光文社 1956年)

岡本太郎は、さまざまなジャンルに渡って文章を残し、芸術家としては異例なほど著書が多い作家です。しかし、有名な「対極主義」、相反する要素を同じ画面の中に共存させるという岡本独自の芸術論を除くと、意外にも岡本が自らの絵画や制作について語った文章はかなり少ないといえるでしょう。

そうしたなかで、岡本の絵画についての考えを垣間見ることのできる文章の一つに「光琳論」があります。若き日にパリに留学していた岡本太郎は、街なかの本屋のウィンドウでたまたま目にした尾形光琳の《紅白梅図屏風》に引きつけられます。まったく隙のないきびしく充実した画面、それまで日本の美術に物足りなさを覚えていた岡本にとって、それは故国の美術に感じたはじめての衝撃でした。戦後になって執筆された「光琳論」で岡本が展開する文章は、自らを魅きつけた光琳の画面についての考察であると同時に、岡本自身の主張でもあると考えられます。「空気も水もない。この真空の世界にこそ、すさまじい緊張とともに、非常の空間が現出します。(中略)空気のただよっている空間などというものは、自然主義の感傷的で通俗なごまかしにすぎない。」

たしかに岡本の画面に、空気感というのはあまり感じられません。これでもかという程にぎっしり詰めこまれた賑やかな構成、もしくは、暗い真空を切り裂く色のひらめき、という印象が強いように思われます。こうした空間構成の視点からみていくことも、岡本の絵画空間を読みとく一つの鍵となることでしょう。

[画像: 「森の掟」1950年 油彩、キャンバス]

スケジュール

2007年9月21日(金)〜2008年1月14日(月)

開館情報

時間
9:3017:00
休館日
月曜日
月曜日が祝日の場合は月曜日開館し翌日休館
年末年始休館
備考
年末年始(12月28日〜1月3日)
入場料一般 500円、高・大学生、65歳以上 400円、中学生以下 無料
会場川崎市岡本太郎美術館
http://www.taromuseum.jp/
住所〒214-0032 神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5
アクセス小田急線向ヶ丘遊園駅南口より徒歩17分、向ヶ丘遊園駅南口よりバス「生田緑地入口」下車徒歩8分、JR南武線武蔵溝ノ口駅または東急田園都市線・大井町線溝の口駅北口よりバス(向ヶ丘遊園駅南口行き)「生田緑地入口」下車徒歩8分
電話番号044-900-9898
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