アートユニット、ザ・ビークル(吉田剛・河原三紀)は、常に現実としてある世界と、映像メディアによって配信される視覚的な世界と、二つのイメージを共にリアルなものとして捉え、それらの相互関係を人の感覚のなかで結びつける装置を作り続けています。今回の展覧会では、2005年より展開しています「A LDK」シリーズのなかから、鏡の作品「That's the story of him / her life」を用いたインスタレーションを展示します。「That's the story of him / her life」は、映画のスクリーンサイズの縦横比の形をした鏡の作品で、一つの映画に特定されないような男女のセリフが、日本ではなじみのある映画の字幕書体で印字されています。鏡にうつる背景と映し出された自分、またその字幕が組み合わさることで、この作品を見る人は、鏡によって切り取られた日常のシーンに、映画の中に入り込んでしまったような映像的な感覚を覚えることとなるでしょう。