宮原夢画 + 諏訪綾子「味身」

POINT

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アーティスト

宮原夢画、諏訪綾子

例えば精密に作られたケーキを前に、食べずにその美しさを鑑賞するだけなら永遠に内なる味わいを知ることはできない。じっくり眺め終わった後で、さあ食べたいと思ったときには、既に鮮度が失われている。私たちの人生には度々これに似たような抜き差しならない状況が訪れては判断を迫り、悩ませ続ける。大切な何かを得た時点で、大切な何かを失ってしまうのだ。そうは解っていても空腹なら、ついそれを崩して食べてしまうのは、私たちがその時に湧く欲望を抑えきれないからだろう。
今回の展覧会「味身」で2人がコンセプトとして提示する「味身＝人のあじわい」の楽しみ方もこの欲望に深く関係している。経験や時の経過によって生じたその人自身が内に秘めるストーリーは、身体に潜み沈殿し、未知なるあじわいを形成する。
諏訪綾子はそのあじわいの滲み出る身体と食材を組み合わせて、まるで調理のように見る者の欲望を挑発しさらなるあじわいを引き出させる。そして宮原夢画は肉体と食材の微細な状況をストイックなモノクロームの視線で見つめ、食欲や性欲への想像を通して、見るだけではなく、静謐にあじわえる作品として仕上げている。
味覚ではない新しい「あじわい」との出会いをぜひお楽しみ下さい。 (gallery POINT／古井真也)

[画像: 「untitled」 (2008) gelatin silver print 20×24inch]

スケジュール

2008年8月22日(金)〜2008年9月6日(土)