宇都宮美術館河口龍夫は1960年代から発表を始めた戦後美術を代表する作家のひとりです。今回の企画では昨年、当館の所蔵となった初期の代表作「関係 -エネルギー」 (1972年)を中心に、1970年代の主要な作品を合わせて振り返ります。1980年代以後今日にかけて、河口の作品は多様な広がりを見せて展開されますが、その大半の試行はすでに1970年代の作品に現われています。これまでこうした点はあまり指摘されることはありませんでしたが、この企画ではいわば河口作品のルーツを訪ね、最初の発表時を除いて後に発表の機会のなかったこの時代の作品も多数展示されます。その作品内容は、美術ではふつう重きを置かれない「見えないもの」に対する異常なまでの関心を示しています。「関係 -エネルギー」も題名のように見えないエネルギーをモチーフにしています。しかし、エネルギーはネオン管を通ることで光に変わり、電熱器を通ることで熱に変わり、今では使われなくなったベルでは振動を利用して音に変わります。エネルギーというと少しも身近ではありませんが、光や熱や音に変わることで一挙に日常的な生活や現象になります。そうして河口は「見ること」にばかりかまけて失われた人間の想像力や表現の本来の豊かさを回復させようとしています。当館ではこうした河口の長いキャリアの起源となる時代の表現を対象に、同時代はもとよりその後の時代をリードした表現の先駆性にスポットを当てます。
講演会: 6月15日 (日) 14:00〜
[画像: 「関係 -エネルギー」 (1972)]
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