GALLERY SPEAK FOR80年代、イラストレーションの手法にCGの技術をミックスした作風で、若野桂氏はセンセーショナルに脚光を集め始めます。アメリカン・ポップやグラフィティを踏み台に、ジャパニメーション世代の予兆も感じさせるそのスペースエイジ的な描画世界は彼独特のもので、NIKEが1988年からアメリカ15都市〜イタリア〜日本〜アジアで展開したバスケットボール・キャンペーンにおいて、全てのCMキャラクターデザイナーとして抜擢されたように、むしろ海外から国内へ評価がフィードバックされた点も異色でした。また80〜90年代の活発なクラブシーンとその周辺のグラフィックムーヴメントに大きな影響を与え、DJ KRUSH、MONDO GROSSO、MONDAY満ちる、竹村延和、BIRDなど、今もなお若野氏のパッケージ・アートワークや映像と一体的に記憶されている名曲も数多く存在します。
本展は若野氏にとって、東京での7年ぶりとなる本格的な展示です。20余年もの間に創り上げてきた若野氏の夥しいイラストレーション、CGワーク、グラフィックなどの数々から、コレクターの視点で選りすぐって展示するタイムトンネル的な枠組みだけでなく、変わらぬバイタリティを感じさせる新作コレクションも織り交ぜて多層的に紹介します。
音楽シーンからはもう、グラフィックの名作がほとんど生まれなくなったと言われますが、今もクリエイター筋をはじめとする根強いファンから深いリスペクトを集める若野氏の作品群と、それらを貫く孤高のグラフィック魂を改めて俯瞰することは、その喪失感を前向きに埋めて余りある新鮮な体験となるはずです。
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