entkukui (エンククイ)星 智は2003年東京芸術大学大学院油画専攻を修了し、1年間の研究生を経たのちに渡独、現在ベルリンを拠点に活躍している作家である。今回の展示は、実に5年ぶりとなる日本国内での展示である。
近年の彼の作品の中心モチーフである少年少女たちはどれも、どこか寂しげで哀しげな雰囲気をもち、彼らの視線は画面の外のある一点を見つめている。作家は、その不思議な表情をたずさえた子供を描く一方で、花々や象徴的なマークのような図柄を描き重ねることにより、作品を構成する。
それらのシンボル化され画面上に散りばめられた模様は、あたかも彼(彼女)の内面世界の表出、もしくは他者から彼(彼女)へのイメージの投影の様にも見える。何か言いたげな彼(彼女)らと、シンボル化された模様、この2つの世界が折り重なる事によって描き出されるのは、私たちの幼き頃の記憶、または私たちの抱く現代の少年少女への不安、かつ期待であるのかも知れない。
作家は現在、平面絵画のみならず、マスプロダクトされた既存の鹿の頭部を白く塗り直し、フォルムのみを抽出したのちに、今回の少年少女のシリーズと同様のシンボル化された図柄を重ね描くというシリーズを制作している。これはある存在に対して様々なイメージを象徴化した上で、その物にスーパーインポーズするという技法を用いる作家の新たな試みである。
ある対象に対して、各々の抽象化されたイメージを折り重ねて、その対象を認識するという行為は、まさに私たち現代人が、普段生活している中で自然と行っているものであるだろう。作家はそれを繊細にかつポップに独自の世界観で、画面に表現している.
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