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久保田博二 「アメリカとビルマ」

PGI
終了しました

アーティスト

久保田博二
世界を舞台に活躍する写真家集団「マグナム」に所属し、ただひとりの日本人メンバーである久保田博二氏は、これまで多くの国々を駆け巡り取材してきました。氏が写真家として国際舞台で活動するきっかけとなったのは、人々との出会いと、2つの国アメリカとビルマでした。

1961年にマグナムの主要メンバーの日本での取材を手伝う機会があり、彼らの仕事ぶりに魅了された久保田は写真家になろうと決心しました。そして翌年、家族の反対を押し切って、ライカM3と2本のレンズを持ってニューヨークへ渡りました。自由に渡米することが許されなかった時代のことです。E. アーウィット氏が身元保証人となり、アメリカでの写真生活が始まりました。1963年からアメリカ各地を訪れた久保田は、最初の訪問地、首都ワシントンで「ワシントン大行進」の場に居合わせるという体験をし、また、先住民が居住する南西部や、南部を訪ねました。自分が日本人である事を意識させられた最初の撮影旅行でした。67年まで滞在するなかで、ベトナム戦争を境にアメリカが著しく変わっていく様を目の当たりにしました。その後、一時帰国していた日本で任せられた仕事の成功報酬で、世界一周旅行の機会を得た久保田は、1968年、東京からニューヨークを経由して、西ヨーロッパ、中近東、インド、ビルマ、タイと香港を10カ月以上かけ旅をしました。何よりも世界の多様性と複雑さに驚かされた忘れられない体験だったと振り返ります。

そして、1969年には復帰前の沖縄を取材し、ベトナムへ派兵される米軍の兵士だけではなく、沖縄の人々の取材にもそれ以上の時間を費やした久保田は、彼らの独自の生活、文化などにふれ、その格調の高さに感動しました。この時、自分がアジア人であることに気づかされ、これからはアジアを中心に仕事をすべきだと心に固く決めたと語っています。アメリカで写真家になった久保田は、アメリカかぶれしていたに違いない自分に沁みこんだ「アカ」をまず洗い流すために、アメリカと最も対極にあるアジアの国はどこかと考え抜きました。ある時、それはビルマだとの結論が出ました。

1970年からビルマに通い始めた久保田は、78年までの間に70回ほどビルマを訪ねました。かつて東南アジアで最も豊かであったこの国の人々は、軍事政権のひどい圧政下のもとでも信仰深く、優しく、そして考えられないほど寛容であり、そのような人々に久保田は感銘を受けました。このビルマ撮影はやがてアジアの撮影に繋がり、1975年サイゴン陥落取材を契機に、久保田は「アジア」と本格的に取り組むようになりました。1978年秋からは、「中国全省」と「北朝鮮」の長期取材を同時に進行しました。久保田の写真人生のABC(イロハ)はまさしく、アメリカ(A)、ビルマ(B)、チャイナ(C)でした。

本展は、久保田博二氏がアメリカとビルマで撮影したモノクローム作品70余点を展示いたします。これらの作品は、1976年に開催された「アメリカンピープル」(銀座ニコンサロンほか)と1978年の「静思のビルマ」(銀座ニコンサロンほか)で発表された作品も含まれていますが、当時に制作されたマスタープリントで再構成したものです。久保田博二氏のアジアの作品は、現在清里フォトアートミュージアムで展示されています。併せてご高覧ください。

スケジュール

2009年9月9日(水)〜2009年10月17日(土)

開館情報

時間
11:0018:00
休館日
日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttp://www.pgi.ac/content/view/245/76/lang,ja/
会場PGI
http://www.pgi.ac/
住所〒106-0044 東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F
アクセス都営大江戸線赤羽橋駅中之橋口より徒歩4分、東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅6番出口より徒歩8分、東京メトロ日比谷線神谷町駅1番出口より徒歩8分
電話番号03-5114-7935
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