兵庫達弥「モダンな白眉」

Gallery 21 （ギャラリー・ヴァンテアン）

終了しました

アーティスト

兵庫達弥

パリ市内を抜けたセーヌは隣接するブローニュ・ビヤンクール市に寄り添うように流れ、イル・ド・フランスの平野をさらに蛇行しながら流れる。そのセーヌ川の中州に眉の形をした〈セガン島〉がある。1929年、あたかも白亜の戦艦のような工場がこの島に建設された。当時もっともモダンな建築と言われたルノーの自動車工場だ。第二次世界大戦で大半が破壊されたが、戦後復興され1945年からその後52年間にわたり国有化の対象となった。1989年にセガン島での最後のルノー車輌の生産を終えると、にわかにこの島を巡りさまざまなプロジェクトが濫立するが、結果15年間も放置され、2004年3月ついに76年の歴史を刻んだ「モダンな白眉」はとうとう解体されることとなる。最初の１年で工場の大半は解体されたが、現在もシンボリックなゲート、鉄橋さらに工場の歴史を見守った樹木、そして"Régie National"（国営企業）の刻印が残る鉄門とレンガ壁の一部が残されている。

破壊と再生を重ねる都市、パリの西に位置するセガン島、今後は公園、大学、科学や芸術センターなど未来的な都市計画の象徴として生まれ変わって行く。そして、この景観もまた"歴史の記憶"としてその新たに再生する姿の貴重なディテールとして組み込まれていくことだろう。

スケジュール

2009年1月13日(火)〜2009年2月15日(日)