WAITINGROOM吉田にとって初個展となる本展では、新作のペインティングの数々を展示いたします。
吉田は1988年京都に生まれ、現在は金沢美術工芸大学油画科に所属し、金沢と東京を中心に活動しています。ペインティングが中心の吉田の作品は、抑えられた色彩で描かれる幻想的な情景、絶えず現実と非現実を行き来しているような浮遊感が特徴です。その印象的な作風は、昨年11月から今年3月までシンジュクアートインフィニティに出展され、旧マルイシティ新宿工事仮囲いの壁面に展示された「海辺」でも存分に発揮されていました。
「想像とは自分の中にある材料、記憶を元に合成されるものだから、現実と想像の世界を行き来して交差させることは案外簡単なのではないだろうか。現実に合わせて記憶を作りかえることも記憶に合わせて現実を作りかえることも安易なように。人は想像力という主観によって現在という現実を解釈している。空想の世界ではなく現実の一つの可能性を描きたい。」 吉田博
新作「雪原」では、真っ青な画面にどことなく不自然な形の木々が立ち並び、中央部分には彷徨うように歩く人物が小さく描かれています。どこにでもありそうでない、地平線の向こう側に何かを予感させるがはっきりとは見えない、そんな空想と現実の狭間を描いたような景色は、吉田自身が語る記憶と想像という材料でもって描かれた「現実の一つの可能性」であると言えます。
若干20歳の新世代を生きる作家・吉田博が構築する世界=「WORLDS」は、誰の中にも眠っている記憶の物語に語りかけてきます。それは、混沌とした現代社会の中で想像することを忘れがちな私たちにとって、想像の生む情感の豊かさを再認識するきっかけとなるでしょう。
[画像: 「雪原」 (2009) MDFボードにアクリル 56 x 40cm]
まだコメントはありません