三鷹の森 ジブリ美術館鉛筆をにぎり、シンプルな絵で、画面に出てくるあらゆるものをとことん動かしたい―。宮崎駿監督は、アニメーションの原点に立ち返って、映画『崖の上のポニョ』を制作しました。それは、画面の精度を上げるために、背景画は緻密で写実的になり、キャラクターは細く均一で神経質な線になり、一方でデジタル技術で複製と増殖が簡単に行われ、描くことの意味が曖昧になってきているアニメーション制作に対する挑戦でした。
新しい企画展示『崖の上のポニョ』展では、人の手で絵をとことん動かそうと考えた作り手たちが、どのように映画作りに挑んだのかを紹介します。
アニメーション本来の醍醐味を取り戻すために宮崎監督らが目指したもの、それは“遠近感や水平垂直が緩く歪んだ空間に、鉛筆の自由闊達な太い線で、命を吹き込まれたものたちが、とことん動いている作品を、人の手でつくろう”ということでした。本展示では、映画『崖の上のポニョ』のストーリーを追いつつ、いくつかのシーンを取り上げ、その試みが作品の中でどのように表現されているのか、カットの実例や背景画を用いて紹介します。特にこれまであまり紹介されなかった動画を数多く展示し、お客さまが実際に動画を手にとって、パラパラさせて絵の動きを確認してもらえるようにしています。そして、映画が出来上がるまでにひたすら描かれた膨大な枚数の原画と動画、さらに、動きと絵の豊かさを両立させるためにデジタル技術を用いて描いた実例なども紹介します。とことん動かすためにどれだけの絵が人の手で描かれたのか、実感していただけるでしょう。展示室にはポニョや巨大な水魚などの立体造形物も随所に配していますので、あらためて映画の世界も体感してください。
映画『崖の上のポニョ』と本展示を通して、アニメーションの醍醐味と、人が描くことの大切さ、そのエネルギーの凄さに触れていただければ幸いです。
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