Eye 「& Co. Soon」

マジカル アートルーム

poster for Eye 「& Co. Soon」

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音楽雑誌の新譜レビュー欄でよく見かける、まだ出来上がっていないジャケットの枠に印刷されたあのぶっきらぼうな文字。三年ぶりの新作展が迫ったある日、 EYEから私たちのもとに届けられた展覧会タイトルは、これをもじったものだった。まだ制作中…という現状を伝えるともに、この「&Co. Soon (アンドコスーン)」は彼の「脳内レコ屋台」の屋号でもあるという。

展覧会がオープンしても、この看板はひきつづき掲げられる。いつまでも続く期待感。それは、EYEの表現が常に与えてくれるものだと思う。彼は、音や線や身の回りのモノを使って、それらの連関を呼び起こすことから世界全体を描こうとする。部分が次々と繋がって全体へと至る、そのしなやかな動き——これを辿る経験は、無限音階を聞くように、私たちの意識を、まだ見たことのない世界に向かって解き放ってくれる。

今回の新作のためにEYEが選んだ素材は、車のボンネットである。それにペンを走らせると、キーッという車がカーブを切ったときのような音が出るという。その音と、腕の動きを確かめながらストロークを繰り返すうちに、ボンネットは繊細な線で覆われていく。EYEはそれを回転させ、さまざまな角度から眺めては、どこかに「眼」が出現していないかを探す。発見する、そのとたんに、ただ線の連鎖に見えていたものが羽や鱗に変わり、鳥や龍の姿が立ち上がる。こちらとあちらの四つの「眼」が互いに見あう、それは絵の中の世界と現実世界との回路が、うまく接合された瞬間である。「眼(EYE)」とは、私たちに向けて開かれた入口、異なる時空を繋ぐ「&」である。そしてその名のとおり、EYE自身もそのような存在だと言ってしまってよいだろうか。ボンネットの表面に浮かぶ宇宙は、彼が作り出したのではない。それは私たちの回りにすでにあったのに、気がつくことができなかった「別の」回路なのである。EYEが心得ているのは、そこにうまく乗り込むタイミングなのだ。

このようにして、EYEは個人を超えた何ものかへと届こうとする。それは、「Art」という得体の知れないものに対する全うな態度でもあるだろう。私たちに「Art」を捕まえることはできない。それは常に、「Coming Soon」 であるはずなのだ。

藪前知子(東京都現代美術館学芸員)

この展覧会はNadiff Galleryとの共同開催です。

メディア

スケジュール

2009年06月21日 ~ 2009年07月18日

オープニングパーティー 2009年06月21日19:00 から

アーティスト

Eye

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