代表作の一つ、“Bronzino Pearl Necklace”と題したネックレスは、16世紀マニエリスムを代表する画家ブロンズィーノによる肖像画「エレオノーラ・ディ・トレドと息子の肖像」に描かれた女性、エレオノーラが着ているベルベットのドレスの文様に着想を得ています。ドレスに織り込まれた壮麗なザクロの花のパターンは、同じ時代背景に属する装身具である真珠のネックレスに由来する形状を持つシルバーのジュエリーとして蘇りました。糸でつながれた球状のパーツ一つ一つには、緻密に計算された複雑な文様が曲面に沿って完璧に連続しています。CADシステムを駆使したエッチングによる透し彫りを三次元に応用するという、ナウスが長年の探求の結果編み出した独自の手法は造形上の可能性を広げました。伝統的テキスタイルの文様を用いる一方、結果として生み出されるものは制作方法を含め非常に現代的なものです。