マキイマサルファインアーツ兵頭の作品には極端な叙情と下劣なエロが共存している。この「詩情と低俗」という矛盾した妄想は男の抱くロマンティシズムと解釈することができ、男の欲望のストレートな投影かと観る者はまず思う。しかし、その対象が生身の女性でなく男の欲望を満たすために生まれたラブドールであるとき、あくまで欲望は自己完結に向かい、実は欲望の持つ横暴さを封印してしまう。
生/性と矛盾した誠実が、作品の裏側に垣間見えるのだ。欲望は生きるエネルギーであるとともに宿命的に悪の根源である事を、兵頭は、凝視し続けている。性的な妄想の影で、その自己の葛藤がこの作品を生み出している。ラブドールによって歪曲し封印した欲望の先に見えるものは、他者との関係を絶つ自閉と弧死である。享楽的な表層の影に、寒々とした孤独や悲しみが漂うのはそのためだ。
性の揺らぎが著しい今、過激な兵頭の作品の真意について、その眼でお確かめ頂きたい。
[画像:「新・金剛寺ハルナとその姉妹」シリーズより]
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