一原有徳 「予見する風景」

アートフロントギャラリー

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昨年2010年の秋、100歳の誕生日を少しすぎた10月1日、目標を達成したかのように一原有徳は、静かに鬼籍に入りました。一原有徳は稀有な作家人生を歩んだ事でも広く知られる存在です。41歳で友達から贈られた油彩画で絵を描いたのが美術の出会いで、小樽の貯金局に勤めるかたわら、俳句、登山家として早くから北海道では知られる存在でした。そして1960年東京画廊で50歳にして鮮烈のデビューを果たしました。一原が築いた版画との出会いは、偶然と環境が生んだ産物でした。小樽貯金局の床に絵の具をばら撒きそれを金属性のスクレイパーで作られる有機的な形や金属の集積が重なる風景など、刷りとったモノタイプの版画は一原を夢中にさせました。一原は無意識という意思性に身を任しながら、半世紀にわたって繰り返し繰り返し、イリュージョンの世界を漂流し続けてきた作家と言えるでしょう。

一方、その後、独特な金属版を作り出すきっかけもやはり偶然性と好奇心と役所的勤勉性の所産でした。金属の上にのっていたほこりや米粒、糸など身の回りや散歩の時に見つけた様々な物、ドリルやハンマーで傷つけ、プレス機で凹凸をつくって版にした版画、様々な腐蝕剤を用いてつくった金属版の版画類、その偶然性が生む形態やマチエールは観る者に様々な事象を想起させます。一原は版の可能性を大きく広げました。半世紀前、一原有徳が偶然の所産で見つけたモノタイプの版画によって創られた風景と言える作品は、いや、だれかの意思によって描かされたと思える作品は、予見に満ちた風景の作品でした。それは、2011年3月11日以降、私たちは、直接又は間接的に繰り返し目にした風景とあまりにも似ている風景ではないかと驚かされます。暗黒の中にある無機的機械の部品が集積した風景、あるいは有機的なモノが蠢く深く世界は、瓦礫化して沈黙する地球の風景のよう。地平線低く深い暗闇が潜む果てなしない世界、目くるめく無限に吸い込まれる金属の破片がつくる人工的な空間。

半世紀前、一原がモノトーンで描いた沈黙する風景のイメージは、現在、私たちのとりまく風景を見事に予見しています。

本展では、アートフロントギャラリーが所有する膨大な作品の中から、1960年代から1990年までの大型のモノタイプ作品を中心に展示いたします。そのイメージを最大限まで突き詰めていく中で、大型することで版画の概念を超えようとした時期の作品群です。

[画像: 一原有徳 「ZOP 4 (部分)」(1983) アルミニウム版モノタイプ 1195×3800mm ]

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スケジュール

2011年10月28日 ~ 2011年11月13日

アーティスト

一原有徳

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