ミヅマ・アクション大学で油画を学んだ木村は、中世の宗教画などをヒントとしたステンドグラスを制作する傍ら、2003年頃より本格的に日本画を始めました。西洋の王子様やターザン、人魚などファンタジーな人物像が東洋画の風景表現の中を踊る作品は、屏風や掛軸を舞台に表されます。
「楽園」と題された本展。一対:各2×4mの新作屏風で、木村は女性である自身が密かに夢想し楽しむ男子のエロティシズムを、描き手の情念を制したカラッとした態度で洒脱に表しています。一方、描き込まれた男子たちの日常的なポーズと視線から見せるナルシズムの表情は、アイドルのグラビア写真の判を押したような軽さを持ちつつ、ふとした瞬間に思い出される粘着性を伝えています。現代の情報時代の中で私たちが気にも留めずに受容している彼らの一様な広告的イメージ。麻薬のようにカジュアルでありながら抜け出せなくなる表情を木村は迷いのない筆で描き写しています。
客観的立場で対象とあえて距離を置きつつも男子への性愛を表現する、そんなドライとウェットが絶妙に交錯した視点によって、そこから見える物事の本質に迫ります。ファインアートの世界では独特の作品性は、木村了子があえて自身の作品を「破綻寸前」の臨界点に近づけ、美術史の継承と発展を目指す挑戦とも言えます。
[画像:男子楽園図屏風 EAST, 2011, 六曲一双屏風に鳥の子紙, 岩絵具, 金箔, 207×406cm]
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