1223 現代絵画ライアン・ガンダーは、1976年英国、チェスターに生まれ、マンチェスター・メトロポリタン大学を卒業後、オランダのヤン・ファン・エイク・アカデミー、ロイヤルアカデミー・オブ・ビジュアルアーツにてファインアートを学びました。現在はロンドンを拠点とし、アムステルダム市立近代美術館やソロモン・R・グッゲンハイム美術館での個展など、ヨーロッパのみならず世界的にコンセプチュアル・アーティストの旗手として注目を集めています。また、今春の太宰府天満宮での個展に加え、8月にはヨコハマトリエンナーレ2011への参加が決定しており、日本でも意欲的に作品を発表しています。
今回展示するAlchemy Boxシリーズの新作 “It stole your thunder, 2011 (Alchemy Box #25 )” は、アートにおける二次元と三次元の意味を問い直す作品です。壁に立て掛けられた差し箱(日本独特の美術品保管用段ボール箱)の体裁をした、壁掛け型の立体作品です。作品の内部には、「多次元性に関する調査」と題してガンダーが集めた資料が納められています。そして、この立体作品の対角線上には “It stole my thunder, 2011” と題されたペインティングが設置されます。このペインティングは、前述の立体作品をそのまま絵画として複製したもので、パネルの厚みを、立体のそれと揃えるなど細部にわたって類似性を強調しています。鑑賞者は、二次元と三次元で再現される差し箱から平面と立体について、また密閉された差し箱に納められた中身を知るためにはそれを開ける=作品を壊すしかないというジレンマから可視と不可視への考えを巡らせることになります。目に見えるものだけがアートの本質なのだろうか、というガンダーの謎かけともいえるでしょう。アーティストからの贈り物といえる問いかけから生まれるあなただけの思考をお楽しみください。また展示作品のうち、美術史上有名なカラーフィールド画家の作品をモチーフとしたインスタレーション作品は、今年度のヴェニス・ビエンナーレにおいて展示中の作品と同シリーズの新作となります。
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