石井宏明のフォト・ギャラリー・インターナショナルでの初の個展となる本展では、「幻の扉:La porte de l'illusion」と題し、2006年から2010年に撮影された新作を展示致します。副題「La porte de l'illusion」の "La porte"とは、フランス語で「扉」を、"l'illusion"は「幻、幻影」を意味します。
「物体(もの)」は蒐集され、視られることにより、学問的な、あるいは歴史的な意味合いといった価値 を付加され、本来あった姿から二次的な存在へと変化します。今作は16ヵ国、150以上の場所を巡って撮影されていますが、作品にはガラス越しに差し込む光が印象的 に映り込み、まるで様々なモチーフがそのまま標本箱の中に閉じ込められ、展示されているかのような印象を与えます。反射 - 透過 - 屈曲といった光学的なモチーフ、光によって浮かび上がる眼には定かでない細かな埃、それ ぞれの空間の時の中で密やかに佇むものたちの気配。それらは写真に写され、石井に蒐集されることによって、経過し、堆積した時間の層や、死を想わせる荘 厳な瞬間を連想させる新たなイメージへと変化しました。カラー作品、20余点を展示致します。 視る者の眼を密やかな歓びへと誘うような「幻の扉:La porte de l'illusion」をぜひご高覧頂けますよう、 お願い申し上げます。