終了した展覧会・イベントです

「美しいぼろ布 - 日本人は何を失い、何を守ってきたのか? - 」展

アミューズミュージアム
終了しました
そんなに昔のことではありません。かつては日本でも自分や自分の家族の衣類を、一家の女性たちが自ら作ることは日常でした。雪国・青森では綿花の栽培ができないため、女性達は麻を植え、繊維をとって糸にして、布を織りました。冬の寒さは過酷で、着ることは食べること以上の死活問題。小さな布の切れ端や糸屑さえも大事な財産でした。一着の着物を何世代に渡って着ることなどは当たり前で、綻びにはツギを当て、過酷な寒さから身を守るために粗い麻布をどんどん重ね合わせ、刺し子を施して補強し、それでも使えなくなった着物は細く裂いて、それで再び新しい布を織ったのです。
BOROはいま、世界のアートシーンで通用する言葉になりつつあるといいます。BOROは「ぼろ」です。文字通り、着古してボロボロになった着物や布のことですが、青森のぼろほど見事なぼろはありません。大切な布を少しでも長持ちさせるためにかけられた膨大な手間と時間。かけがえのない家族のために培われた手仕事の技術と美的感覚。
それは図らずも複雑なパッチワークを成し、経年の趣をまとい、消費文明の対極の圧倒的な布文化を生み出しました。民俗学者・田中忠三郎が、半世紀に渡って青森の山農村を巡り歩き、蒐集を続けたぼろ布たち。それらは言葉を持ちません。しかし私たちは感じます。針目の一つ一つに、大切に繕われた布の温もりに、垣間見えるお洒落心に、どんなに貧しく過酷な境遇にあっても、優しさを抱き、人を愛し、豊かに生きた人々の心を。物を作り、慈しみ、使い切る充足感と、困難に負けない真の力強さを。粗末なぼろ布にあらわれた、思いがけない美の世界が、現代を生きる我々に根源の問いを突き付けているようです。

スケジュール

2013年1月1日(火)〜2013年1月31日(木)

開館情報

時間
10:0018:00
休館日
月曜日
月曜祝日の場合は開館し、翌日休館
入場料一般 1080円、大学生・高校生 864円、中学生・小学生 540円、障害者手帳提示とその介護者1名 540円
会場アミューズミュージアム
http://www.amusemuseum.com/
住所〒111-0032 東京都台東区浅草2-34-3
アクセス東京メトロ銀座線・東武伊勢崎線浅草駅より徒歩5分、都営浅草線浅草駅より徒歩8分
電話番号03-5806-1181
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