大岩オスカール「Traveling Light」

アートフロントギャラリー

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サンパウロに日系ブラジル移民二世として育った大岩オスカールはそもそも初めから自己のアイデンティティのうちに自覚的な多層性を含んでいるように思われる。20代の半ばから2002年までほぼ11年間、東京を拠点に活動していたが、その頃、東京を中心に日本は各地で地域再開発事業があり、大学時代に建築を専攻していた大岩は絵画だけではなく、1994年に完成した立川駅の近くの再開発で歩道の床面に太古の三葉虫を思わせるアートを埋め込む、屋外パブリックアートのプロジェクトにも関わっている。2000年の「第一回大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」にも参加し、そのときの作品はいまだに松代の田んぼに恒久設置作品として残っている。2010年の瀬戸内国際芸術祭の作品はあいにく建物ごと焼失してしまったが素晴らしいインスタレーションとして評判が高かった。こうした立体、あるいは空間全体を使った表現と平行して平面の絵画を作っており、1995年にはVOCA展にも参加しているし、2008年から2009年にかけて東京都現代美術館から福島県立美術館、高松市美術館を巡回した個展「夢見る世界」はいまだに多くの人々の記憶に残っているのではないだろうか。
 大岩の平面作品の特徴はその寓話性にある。作家は様々な世界を拠点に活動しながら一貫した立ち位置で世界を眺めている。しかしその立ち位置は空気の中を浮遊してするように程よい客観性を保ち続ける。社会性を作品から読み取ることも可能であるが、作家の個人的な思いとしてのメッセージを発しすぎた極端な政治的・社会的な絵画になることはない。よく雲の間から大都市を見下ろしたような構図の絵画を描く作家であるが、まさに世界を雲の間から客観的に見渡しているようである。時にコミカルにときにラディカルなモチーフが出てくるが、寓話のように動物や近現代の人気アニメのキャラクターが登場して絵の中で何かを演じることも多い。寓話的なこの客観性こそこの作家の自覚的な多層のアイデンティティに基づいているのではないだろうか。
 昨年来日した作家と話をする機会があり、日本の地震や津波、あるいは発電所の問題などが話題に上がったが、こうした現代のトピックを作家はどのように考え、どのように作品に反映するのであろうか。今回のアートフロントギャラリーの展覧会では渋谷のヒカリエのギャラリーをも使って東京都現代美術館での展示と同様、巨大なキャンバスを中心に大岩オスカールの最新の平面作品を紹介する。2008年の現代美術館での展覧会の頃、世界には問題が山積していた。今も何も解決されることがなく、さらに山は険しくなっていくばかりであると感じる。大岩の作品はこうした現状の世界をユーモアも交えながら再認識させてくれるであろう。

渋谷ヒカリエでの展覧会概要
日時: 11月14日(水) -11月26日(月) 11:00~20:00
場所: 渋谷ヒカリエ 8F CUBE
[画像: 大岩オスカール「北千住」(2010) キャンバスに油彩 227 x 444cm]

メディア

スケジュール

2012年11月16日 ~ 2012年12月02日

オープニングパーティー 2012年11月14日18:00 から 20:00 まで
渋谷ヒカリエ 8F CUBEにて。18時半よりアーティストトークを予定

アーティスト

大岩オスカール

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