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八木明 展

セイコーハウス銀座ホール
終了しました

アーティスト

八木明
極限まで絞り込まれた口に、豊かな膨らみを持ったプロポーション。潤沢な釉薬の層が柔らかな光を集め、斜めに刻まれた鎬(しのぎ)が流れるような律動を生む──爽として端正な青白磁のデキャンタと杯、漏斗(じょうご)の酒器揃え。作者は、京都在住の八木 明氏である。

陶芸界に創作運動をもたらした八木一艸(いっそう)氏を祖父に、前衛のオブジェ焼きを確立した一夫氏を父に持つ氏は、自己探求の末に「細部にわたって自分の意思が表現できる」磁器に辿り着いた。

「大切なのは『磁土(つち)』を知ること。磁土を触る内に、手が細かな情報を感じとるのです」。傑出した轆轤(ろくろ)技が可能にした、同型・寸法違いの多数の器で構成する〈入れ子〉の空間表現は、国内外を問わず高く評価され、八木氏の名を世に広めた。

和光で4年ぶり4回目となる個展でも、氏の意欲的な発想がいかんなく発揮される。電気系統以外、シェードを含むすべてが青白磁で制作されたランプ「灯器(とうき)」は、磁器を透過する光の美しさが新鮮である。さらに氏が考案した粗土(あらつち)のざらざらとした器肌と、滑らかな青白磁を一体化させた二重構造の器。文字の意味合いと器型との関係性に挑戦した器、黒釉や漆を用いた器など、どれも創意が愉しい。45ピースで構成される入れ子をはじめ、青白磁を中心に皿・鉢・花器・香炉・酒器など、100余点の多彩な作品が出展されるほか、和光の時計塔80年記念に因む、直径2ミリからの80ピースで構成される組皿も興を添える。

大学で陶芸の教鞭を執る氏は、昨年4月早々から、ゼミ生たちを指導。1000個余の器を東日本大震災の被災者に贈った。「学生一人ひとりが見せてくれる面白い個性を刺激として、私自身受けとめています」。エッジやディテールの端々にまで、美意識と技を行き渡らせる氏の作品は、今回も清新な磁器の可能性を提示してくれることだろう。

[画像: 八木明「青白磁酒器揃え(漏斗付き)」デキャンタ/径17×高さ31.2cm 漏 斗/径6.2×高さ7cm 杯・左/径7.1×高さ6.9cm 杯・右/径7.1×高さ6.6cm]

スケジュール

2012年4月20日(金)〜2012年4月29日(日)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
年末年始休館
入場料無料
展覧会URLhttp://www.wako.co.jp/exhibitions/295
会場セイコーハウス銀座ホール
https://www.wako.co.jp/exhibitions/
住所〒104-8105 東京都中央区銀座4-5-11 セイコーハウス銀座6F
アクセス東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線銀座駅B1出口直結、東京メトロ有楽町線銀座一丁目8番出口より徒歩4分
電話番号03-3562-2111
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