終了した展覧会・イベントです

「かわいい江戸絵画」展

府中市美術館
終了しました

アーティスト

円山応挙、仙がい義梵、歌川国芳、長沢蘆雪
日本絵画史上、「かわいらしさ」が作品の重要なポイントとして打ち出されるようになったのは、およそ江戸時代のことではないでしょうか。円山応挙は、地面を転がるように駆け回る子犬たちの絵を確立し、歌川国芳は、愛らしくもややこしい猫の魅力を引き出しました。禅僧仙がいは、難解な禅の教えを、思わずほほ笑んでしまうような子供や動物の姿に託しています。また、かわいらしい題材を描いたものだけではなく、たとえば、文人画の山水や人物にも、見る者の心を和やかにしてくれるものがあります。はかないもの、頼りないものへの共感や愛惜が、あえて素朴に描かれた線や形そのものに対して湧き上がるのかもしれません。はかないものや可憐なものに寄せる思いや慈しむ気持ち、あるいはユーモラスに感じることなど、私たちが「かわいい」という言葉で表すことのできる感情は、実にさまざまです。江戸時代の人々は、そんな豊かな心の動きを絵に表し、絵を通じて楽しみました。また、「かわいい絵」が盛んに楽しまれた背景の一つには、かわいいものを「それらしく」表現する方法が確立されたことがあるでしょう。幼い子供や子犬は、時代を問わず「かわいいもの」だったはずですが、古代や中世の絵に、私たちの目から見て、かわいらしいと思えるようなものは、あまり見当たりません。つまり、「かわいいもの」と「絵としての表現」は別だと考えればよさそうです。現代人を魅了してやまない子供や子犬の絵を描いた応挙や長沢蘆雪。「写生」の画家と言われる彼らですが、ただカメラで撮影するように対象を写しただけで、かわいいと感じる絵ができ上がるでしょうか。彼らは、かわいいものを「かわいい形」として描く術を模索し、確立したのだと言えるでしょう。かえりみれば、造形が立派かどうか、精神の高邁さといった観点から語られてきた美術の歴史の上で、「かわいい」という言葉が使われることは殆どなかったように見受けられます。このたびの展覧会では、近年ちまたで注目を浴びているこの言葉をあえてキーワードとして、これまで見落とされてきた江戸絵画の魅力の根幹に迫ります。

【前期】3月9日(土曜日)から4月7日(日曜日)まで
【後期】4月9日(火曜日)から5月6日(月曜日)まで
大幅な展示替えを行いますので、ご来館時はご注意ください。

[画像: 円山応挙 「狗児図」 後期展示]

スケジュール

2013年3月9日(土)〜2013年5月6日(月)

開館情報

時間
10:0017:00
休館日
月曜日
月曜日が祝日の場合は月曜日開館し翌日休館
展示替期間・年末年始休館
備考
月曜日(4月29日、5月6日をのぞく)、3月21日(木曜日)、4月30日(火曜日)は休館
入場料一般 700円、大・高生 350円、中・小学生 150円
展覧会URLhttp://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/kawaiiedo/index.html
会場府中市美術館
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
住所〒183‐0001 東京都府中市浅間町1-3
アクセス京王線東府中駅北口より徒歩17分、JR中央線武蔵小金井駅南口より京王バス(府中駅行き)「一本木」下車
電話番号050-5541-8600
関連画像

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