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福川淳 展
零 8 (ゼロハチ)
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アーティスト
福川淳
二年前、わたしはあるコンペに福川淳を推薦した折に、カタログに彼の推薦理由として短い文章を書いた。その時、彼の描いた鹿の絵に触れて、首から上に“静謐”が、胴体部分に“野蛮”が棲みついている…と書いた。当の画家は自作について、“具体的なモチーフを描いて抽象に至れば…”と書いていた。二人の言葉は遠からず同じ方向を言い指しているが、昨今のアイコンとキャラをこれでもかとてんこ盛りにしたオハナシ絵画が活況を呈している状況のさなかで、彼の絵はどのように人の目に映るのだろう。と言うのは彼もまた、ディズニーのキャラクターを描いているのだ。白雪姫やミッキーやクマのぷーさんを絵にしている。では、オハナシしているのかと言えば、“まるでオハナシにならない”ような絵を描いている。彼はアイコンやキャラクターを肯定も否定もしていない。それを受け入れるか否かのレベルに図の意味を設定していない。踏み絵を踏むことと踏まないことはどちらにせよまるで異なる物語りを語ることになるわけだが、彼はどちらの物語も語らない。ではなぜアイコンやキャラクターを描くのか?踏み絵を踏もうか踏むまいか、降ろした足はそのいずれにも降ろさずに結晶化しない別な場所を踏もうとしている。そのためにあえて、踏み絵ではなく、“虎の尾”を踏んでみせている。わたしたちの現在の状況、感情や感覚世界、イメージに対する静かだが痛烈な批判とみてよいと思う。彼の絵を見るわたしの目は、つくづく見慣れたイメージを眺めながら実は一向にその形をなぞり得ないで画面の数センチ上でさ迷っている。鹿は、剥製なのだそうだ。死して後さらに人の手で生前の面影を強引にとどめられた形骸だ。福川淳はそれをまたさらに絵に描きとどめる。白雪姫も形骸だ。剥製の鹿と同じ構造だ。そのせいか、どこか居心地のそう良くもなく、それでいてあっけらかんとも見える。澱を沈めているようにも突き抜けているようにも…どこか得体の知れないものに触れている気がする。わたしたちは、意味や理にまみれている何が しか の形が「絵」に描かれた途端、全部が台無しになってしまい、そのおかげであらゆるくびきから解かれて晴れ晴れと輝く事態があることにまだ眼が慣れていない。だから少しづつ眼を慣らしていこうと思う。わたしたちの絵のレベルは、英語でいったらまだLesson1だ。でも、福川淳はその最後のページのあたりにはいると思う。7年余りのヨーロッパ(パリ)滞在を経て帰国し、その後も徒に時流に乗ることをよしとせず今日まで描き続けてきたこの画家の「絵」をしっかりと見ておきたい。
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スケジュール
2013年9月19日(木)〜2013年10月5日(土)
開館情報
時間
12:00 〜 19:00
日曜日は18:00まで、祝祭日は18:00まで
休館日
水曜日
最終日は17:00まで
入場料
無料
会場
零 8 (ゼロハチ)
住所
〒104-0061 東京都中央区銀座2-2-18 西欧ビル8F
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アクセス
東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅4番出口より徒歩1分、JR有楽町駅京橋口より徒歩3分、東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅C9出口より徒歩3分
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