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和田悟志 「すべてそこにある」

ニコンサロンbis
終了しました

アーティスト

和田悟志
作者の地元は福島第一原発から約65キロメートル離れているのだが、高い放射線の線量が計測されており、いわゆるホットエリアが点在している。また、地震の被害も大きかった。作者は東日本大震災・原発事故をきっかけに、自分自身の出自を強く意識するようになった。そして、“故郷がいつか失われるかもしれない”という寂寥感に駆られ、以前にも増して、しっかりと故郷と向き合って写真に収めようと努めた。
一方、震災以前より『vanishing』というこの世の無常観をイメージ化、つまり“永遠不変のものはない”という現実を示唆する風景写真のシリーズを制作中だった。それらは野焼きや火山、霧などがモチーフとなっているのだが、いつしか作者は、『vanishing』の作品群と故郷の景色とを重ねて見るようになっていた。今回展示するのは、故郷の写真と『vanishing』とを掛け合わせたものである。とはいえ、この作品は大きな矛盾をはらんでいる。それは、地元で写真を撮り続けているうちに、『vanishing』の主題(現実)と作者の感情に乖離が生じてきたからだ。
作者は、地元の風景が以前から何ら変わることがない、という錯覚にとらわれるようになっていった。もちろん、実際には、あらゆる変化が起きているのだが…。これらの作品は、こうした作者の感情と現実とをすり合わせることにも意義がある。
このように考えると、あくまでも震災や原発事故は、今回の作品のきっかけに過ぎず、それよりも、無意識のうちに、時間の経過が作者に与えていた影響のほうが大きかった。
今回、1つの形にまとめはしたが、これは完結ではなく、これからも続けていく作品だという。「すべてそこにある」というタイトルの“すべて”には、作者自身の安堵感も不安感もがないまぜになっていて、相反する様々な要素をも含んでいる。カラー約30点。

[画像: 和田悟志]

[関連イベント]
ギャラリートーク
日時: 4月27日(土) 13:00-14:00

スケジュール

2013年4月23日(火)〜2013年4月29日(月)

開館情報

時間
10:3018:30
休館日
最終日は15:00まで、休館日:年末年始、2月11日・12日、8月の第三日曜日とその翌日
備考
期間中無休
入場料無料
会場ニコンサロンbis
http://www.nikon-image.com/activity/salon/schedule/index.htm
住所〒163-1528 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階 ニコンプラザ新宿内
アクセス新宿駅徒歩10分
電話番号03-3344-0565
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