「a piece of work #31 榎本裕一『朝顔』」

a piece of space APS

終了しました

アーティスト

榎本裕一

「つゆもありかへすがへすも思ひ出でてひとりぞ見つる朝がほの花」これは花をこよなく愛した平安末期の歌人、西行の歌です。朝に咲いて夜には萎んでしまう朝顔の花に露が溜まっている、その景色に人生の無常さをみているのでしょうか。榎本裕一もまた花に魅せられ、植物に一時だけ宿る色を表現してきました。引き込まれるかのような奥行き感は、車の塗装などに使われているウレタン塗料を木や金属などの支持体に何層も塗り重ねては磨き、また重ねるという作業を気が遠くなるほど繰り返すことで獲得され、呼吸するかのような揺らぎある植物の色そのものを画面に留めています。朝顔がアトリエの庭に咲き深い藍から葡萄色そして紅に移ろう様に魅せられながら、3年かけてやっと満足できる作品へと結実しました。本展ではAPSと同じフロアにあるGallery Camelliaと2会場にて同じ朝顔をテーマにした作品を展開します。究極のホワイトキューブのAPSと自然光溢れるGallery Camelliaの対照的な空間で、この朝顔が息づく様をご覧いただけます。

[画像: 榎本裕一「円環(朝顔-1)」（2012-2014）鉄にウレタン塗料 220×220×8mm]

スケジュール

2014年4月7日(月)〜2014年4月19日(土)