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柳澤紀子 「Pathos」

鎌倉画廊
終了しました

アーティスト

柳澤紀子
作家が長く描き続けているテーマのひとつは私たち人間の「身体」です。太古より受け継がれてきた記憶を受け止め、変わりゆく現実社会に晒され、喜びも痛みも抱え込む器のような身体。作家は目に見える身体を通して目には見えない精神を見つめ、表現することを試みてきました。その身体は包帯のようなものに巻かれていたり、部分を欠いていたり、ごく一部分のみで描かれていますが、そこには静かな生命力が感じられます。そして同時に多く登場する動物や鳥、植物は、人間の身体と重なり、時には一部となって、生き物すべてが命の源泉であるかのような視点を思い起こさせます。近年では、とりわけ狼が描かれていますが、作家にとって「この地上で賢く、美しい存在」である狼に対する畏敬の念から、3年前の東日本大震災後には天災・人災に見舞われる世界、また依然として争いや貧困の続く世界で強いものへの恐れのように狼が現れてきたといいます。また、身体とともに度々描かれる翼は、天女の羽衣のように上昇していくものへの憧れや自由・希望の象徴である一方、うまく操れなければ落下するほどの重みをもつなど、作家が実に多様な意味を感じ惹かれ続けて描いてきました。自然と人間、原始と文明、アニミズム的な要素など、それぞれの作品は作家がすくい取ってきた「断片」が媒体となりメタファー(隠喩)となって一篇の詩のような魅力を放っています。観るものは様々に想像を膨らませることでしょう。発表の場は年々広がり国内はもとより、ポルトガル、ルーマニア、イスラエル、バングラディシュなどの美術館でも個展が開催され、昨年は静岡県の2ヶ所の美術館で大々的な個展が開催されました。今展のタイトル「Pathos(パトス)」は、ギリシャ語で情念や感情などを意味し、さらには苦悩や死、キリストの受難などを表しますが、作家は言葉の持つ"裏合わせ"の力を感じるといいます。苦悩の先や死の裏には希望や生・エロスへの情熱があることがここには含まれています。今展では最新作を中心に銅版画や混合技法の絵画作品およそ20点を展示致します。創造的な世界でありながら現実からも目を背けない姿勢―その両面が重ね合わされた作品群をご覧頂けます。

スケジュール

2014年9月6日(土)〜2014年10月19日(日)

開館情報

時間
11:0018:00
冬季は17:00まで
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2014年9月6日(土) 16:00 から 18:00 まで

入場料無料
会場鎌倉画廊
http://www.kamakura.gallery/
住所〒248-0031 神奈川県鎌倉市鎌倉山4-1-11
アクセスJR鎌倉駅東口より京浜急行バス「鎌倉山」下車徒歩1分、湘南モノレール西鎌倉駅より徒歩15分
電話番号0467-32-1499
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