光藤雄介「Slow Rush」

LOOPHOLE

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アーティスト

光藤雄介

光藤雄介は、多摩美術大学芸術学科の在学中より、座学で美術史や理論を学ぶ傍ら、独学で絵画制作を行っていました。絵画の表面上に現れる光藤のこだわりは、「マジックインキやボールペンなどコンビニエンスストアでも手に入れられる画材を使うこと」や「画面の表面にしか痕跡を残せない顔科系のインクを使うことよりもその奥へしみ込む染料系インクを使うこと」など、その他にも数多くあるようです。しかしながら、その目的は、それらのルールの先にある目には見えないアクチュアリティを顕在化させることにあるのでしょう。光藤の描く線は、スキャナー機器の情報の読み取り方法のような一方向の法則に妄信的に委ねられているかのように見えるのと同時に、作家のアクチュアルな身体性ー小さな事故のような引っ掛かりーにより像を結びます。その一方で、最終的にそれらの痕跡をカッティングシートで覆うことにより、その身体性の現れを薄め、さらに額縁を強調することで表面性を強調し、タブローとしての深度を複雑にしていきます。この制作過程のシステムは、展覧会タイトルの「Slow Rush」にも示されている、光藤の近年の絵画に対する相反する二つの姿勢ー「抑制と潔さ」が画面上に共存し、作家自身の世界に対する内容をも想像させます。

スケジュール

2014年10月11日(土)〜2014年11月8日(土)