「イグノア・ユア・パースペクティブ 23 - Analysis of Empathy - 」

児玉画廊東京

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松嶋由香利は、児玉画廊において2009年「vacant evil」(京都)、2011年「口にすると嘘になる呪文」(東京)、2012年「夜の帳が眠る頃」(京都)の三度の個展を開催しています。松嶋のペインティングには、華やかな色彩や可愛らしい図柄を多用して、まるで童話やおとぎ話の中へと鑑賞者を引き込んでいくような独特の魅力があります。しかし、その物語には罠も裏切りもあって、恐ろしさや不気味さが潜んでいるのです。例えばレースの編み模様や唐草模様、花柄や市松格子などといった優美なものと同時に、有刺鉄線やガラスの破片、腐り落ちてドロドロした何か、幽霊や化け物の類い、こうした穏やかでないものが絡まりあうように描かれています。奇麗でもあり醜くくもあり、楽しさの中に恐ろしさもあり、常に相反する感覚が同居しお互いが相反するからこそ強調し合うようにして作り出されるアンビバレントな世界。今回の作品では、格子柄のデザインが多用され、これまでの作品に比べればややイメージが簡略化された新たな展開を見せていますが、その格子パターンに沿ってモチーフの色彩がネガ/ポジ反転するのに併せて、虚/実が入り乱れた寓意的な情景が描き出されます。それは誰しもの心の奥底に中に潜んでいる両面性を鏡のように写し取っているようにさえ思えます。
盛井咲良は、児玉画廊では2012年「パーティーナイトオンザロック」、2013年「System.out.println(“Hello World.”)」の二回のKodama Gallery Projectにおける個展で紹介してきました。盛井の作品は、まずその素材のユニークさが特徴的です。発砲ウレタン、シリコン樹脂、ビニール素材など、広義における「プラスティック(可塑性の合成物質)」を多用し、色彩もプラスティックならではの目が痛くなるような人工的で毒々しい鮮やかさに満ちています。盛井は、この人工物のシンボルとさえ言えるプラスティック素材に、疑似生命とも言うべきイメージを見ているのです。ウレタンが発砲して何十倍にも膨張してキノコのように形成する様子、生物の細胞のように細かい粒子が密集したスチロール素材の断面、それらを見て触れることによって、盛井は感覚的に自分を素材の中に投射しながら作品を制作しています。人工物と生命体のフュージョン、視覚(感覚)と素材の連動、それを高次に達成するためのさながら実験か訓練であるようです。
Empathy、つまり感情移入を標榜した今回の展覧会ですが、それは松嶋の表現の表裏/両極性や盛井の極端な自己投射が、いずれも作家自らが感情と想像力の逆巻く内面を深く抉り取るようにして作品に臨んでいることの表れであるからです。そして、鑑賞者である我々は、その表出である作品を前に文字通り感情移入をする、あるいはその力によって感情移入「させられる」のだ、と換言すべきかもしれません。

メディア

スケジュール

2014年03月08日 ~ 2014年04月12日
日曜日、月曜日、祝日休廊

アーティスト

松嶋由香利盛井咲良

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