松井えり菜「マンガ脳夜曲(マンガノウセレナーデ) - 絵画の続き - 」

山本現代

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スペクタクルな背景に描かれた「変顔」の自画像で知られている松井ですが、ここ数年は改めて歴史の中で描かれてきた自画像やその絵画史について考察し、また自己の作品のルーツについて考えを深めてきました。2012年の個展開催より3年ぶりとなる今展では、その探求から生まれた、古典絵画をモチーフにマンガのようにコマ割りで描いた作品群や、指や手の痕跡が残る新たな手法で制作した自画像を中心に、新展開となる作品を発表いたします。松井にとっての絵画制作とは、現実では叶わないユートピアを“マンガのように”自由に構築できる場であり、日常のふとした瞬間を膨らませ、“マンガのような”スケールの大きさで描く事のできる手段でした。マンガやアニメから多大な影響を受けてきた松井は、なかでも子供の頃に出会った「ベルサイユのばら」や「キャンディ・キャンディ」など西洋への憧れを強く喚起させる少女マンガに傾倒し、ブロンドの少女や西洋文化そのもの強く惹かれてきたと言います。作品では、そのような憧れの対象に変身するような自画像も描いてきましたが、多くは「変顔」と呼ばれる滑稽な表情や極端にデフォルメされた顔で描いてきました。「変顔」とは、自分の滑稽さを素材にして他者と笑いや感情を共有したいという若者たちから生まれた流行であり、80年代生まれの松井は時代そのものをキャンバス上で体現しながら、絵画の世界にセンセーションを巻き起こしてきました。そして近年、絵画や自画像についての考察を深める中で、松井が興味を引かれる西洋の古典絵画は、エル・グレコ、ボッティチェリ、ギュスターブ・モローなど、一つの画面の中で物語が繰り広げられるものばかりだということに気づきました。それらが幼少の頃に憧れた少女マンガに酷似しており、むしろ少女マンガが西洋絵画の影響を多大に受けていることに思い至ったとき、デビュー以来常に描いてきた自画像から一旦離れ、自分なりに西洋絵画を“見直す”制作にとりかかりました。古典絵画を自らの指で描き直す作業は、松井にとって作者の思考とシンクロするような、伝記を読むような効果があったと言います。筆を使わずに描かれた画面は、ペインティングとしてのリアルな質感を追求していた頃の作品とは様相が違っていますが、かえって松井の画力の高さが伺えます。この古典絵画への回帰を経て再び描かれた最新の自画像「ジュピター・アタック!」は、パネルにアクリル絵具と指や手で描かれた作品です。パネルからはみ出して描かれている大きな円形の木星が松井の顔にぶつかり、背景にはマンガの回想シーンのようにエル・グレコの絵画の場面が数カット描かれています。古典回帰で得たショックを木星に見立てた心象風景ともとれる自画像で、筆でなく自身の身体で描く事で“上手さ”に通じるリアリズムから離れ、新たな気持ちで自画像と向き合う作家の意気込みが感じられます。 また、新作の自画像からは「インターネット上での顔の見えない交流が氾濫する昨今、人は自らの顔を隠し無責任な発言をし、無意識にのっぺらぼうのような世界を作り上げているのではないか」という松井の問いと、「1ミリ表情筋が動いただけで、怒りや笑い、悲しみなど様々な情報を伝える顔」に「宇宙空間のような無限の広さ、可能性」を感じている松井の強い思いが伝わってきます。

メディア

スケジュール

2015年11月14日 ~ 2015年12月12日

オープニングパーティー 2015年11月14日18:00 から 20:00 まで

アーティスト

松井えり菜

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