「Are you hungry?」、そんなキャッチフレーズでカップヌードルのCMが流れたのは1992年のこと。それから23年が経ち、作家は「カップヌードルの滝」という個展を開くことになった。
内容は、吹き抜けの天井から、カップヌードルをまさに滝のように描いた5m超の巻物状の絵を吊るし、床面には割り箸を5万膳ほど敷き詰める。その中に立ち、ズルズルとカップヌードルをすする音がエンドレスで流れるヘッドホンをつけて、カップヌードルの滝を見上げるのだ。
それは、「Are you hungry?」に対するひとつの答えのような気がする、と作家は言う。あの日、あの頃、「腹減ってる?」と問いかけるCMを見ることのできる人々の中には、ほんとうに腹が減っている人なんてただの一人もいなかったのではないか。しかし、それでも、カップヌードルは消費され続け、世界80カ国で愛されて300億食を突破したという。500億食、1000億食も時間の問題だろう。そのとき、世界は豊かに満ち足りているだろうか。
ジャンクな食べ物を用いて、現代の状況をクリティカルに、単純明快かつシニカルに表現する。