美術家の下西進が、世界各地で撮影した映像作品「I’m On Earth」を発表する。彼はこのシリーズの写真作品の制作を2005年に開始しており、現在は映像作品として展開している。彼は5メートルあまりの長い一脚を持ち歩き、それを世界各地の道の真ん中に立てて自身の姿と彼を取り巻く人々の姿を俯瞰撮影している。いわば都市を歩く人々によって成立するセルフポートレート作品と言えるだろう。 世界の都市に無言で1時間も佇む下西は、自分自身が石ころのようにその場に溶け込む瞬間と、よそ者や侵入者としての気配を漂わせている瞬間があるという。その気配の差は、同じ都市であっても、地域差や撮影する時間帯によっても異なるそうだがここに写る映像作品を見たとき、この違いは鑑賞者の目にどのよう映るのだろうか。