終了した展覧会・イベントです

「サイトスペシフィック疲れと、場所の憑かれ」 展

ゲンロン五反田アトリエ
終了しました

アーティスト

秋山佑太、荒木佑介、井戸博章
サイトスペシフィックなアートは、疲れる。長距離を移動し、歩き回り、調査し、対話し、配慮する。他人の土地によそ者として入り、他人の記憶を、土地の歴史を掘りかえし、それらを勝手に加工した「作品」たちを運び込む。サイトスペシフィックなアートに、疲れはつきものだ。肉体的にも、精神的にも。2016年は、「地域アートの終焉」のはじまりの年として記憶されることになるかもしれない。ひとつの兆候として、今までは関係者たちの間だけで共有されていた「地域アートの実態」が、とうとう社会問題として報じられはじめた。町おこしという大義名分のもとに、大量の「若手アーティスト」とボランティアが駆り出され、ただ動員数のみを唯一の評価基準とした「祭り」が繰り返されてきたけれど、そんな虚しい祭りのあとには、一気に疲れがやってくる。疲れは、様々な問題を誘発する。現場でのトラブル、杜撰なキュレーション、作品の質の低下、、おそらく、地域アートを乱立させてきた日本のアートシーンは、少しずつ、その蓄積した疲れを癒そうとしはじめるだろう。それはやがて、ある種の保守的な「反地域アート症候群」になってゆくかもしれない。近年のカオス*ラウンジもまた、大規模な展覧会や作品発表を、首都圏から離れた「地域」に限定しておこなってきた。もちろん、すべてのプロジェクトにおいて、何らかのかたちで「地域アート」への批判的視座を設定したつもりではあるが、それとは無関係に、サイトスペシフィックなアートが宿命的にもたらす疲れは、等しくふりかかってくる。しかし、すべてのプロジェクトが終わり、アトリエ内に山のように積み上げられた、各地から引き上げてきた大量の「サイトスペシフィックなアート」を目の前にして考えるのは、疲れよりもむしろ「憑かれ」とも言うべき感覚についてだった。それぞれが、固有の「場所性」に立脚したプロジェクトのなかで作られながら、本来の場所から切り離され、ギャラリー空間のなかで宙吊りにされてなお、そこに何かが「憑きもの」のように残存しているように思える感覚。むろん、それは客観的に見れば「気のせい」でしかないだろう。しかしぼくたちは、それぞれのプロジェクトを通して、あまりにも生々しい記憶や歴史の一端に触れ、そこに深入りしてきた。それは、言ってみれば場所に「憑かれる」経験であり、そのような経験が無いのなら、少なくともぼくたちには「サイトスペシフィックなアート」を制作する動機は生まれない。本展では、2016年にカオス*ラウンジが関わったふたつのプロジェクト、「瀬戸内国際芸術祭2016」と『カオス*ラウンジ新芸術祭2016』に出品した作品群を、東京のカオス*ラウンジのギャラリーで再構成する。それは、固有の場所性を持つ「サイトスペシフィックなアート」の破壊であり、「祭り」としての「地域アート」の残骸のようなものかもしれない。しかし、場所に「憑かれ」ることによって制作された作品が、その場所を離れてもなお、「憑きもの」を連れてくるのだとすれば、本展のような再構成によってこそ、それは明らかになるのかもしれない。近年のカオス*ラウンジの活動の、小さな総括であると同時に、「地域アートの終焉」のささやかな記念碑として。

スケジュール

2016年11月25日(金)〜2016年12月11日(日)

開館情報

休館日
イベントにより異なる
備考
開館時間: 15:00~20:00

オープニングパーティー 2016年11月25日(金) 18:00 から 20:00 まで

ワンドリンク制

入場料無料
展覧会URLhttp://chaosxlounge.com/wp/archives/1918
会場ゲンロン五反田アトリエ
http://school.genron.co.jp/gcls/
住所〒141-0022 東京都品川区東五反田3-17-4 糟谷ビル2F
アクセス都営浅草線五反田駅A6出口より徒歩4分、JR山手線・東急池上線五反田駅東口より徒歩7分
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