バルセニーラは、アーティストの表現活動や展覧会などキュレーティングの場において、実践的行為を通じ、「パブリック」や「コモン」という概念がどのように作用しているのか、また、日本各地で見られるまちづくりの動きの中で、これらの関係性に着目しながらリサーチを行っています。 バルセニーラによると、2001年に出版された書籍『Public Places in Asia Pacific Cities』の中で、日本におけるさまざまな場は、場そのものが持つ物理的な特性よりも、行事などを通じてどのように使用されているのかということに、その認識が左右されると言及されています。いいかえれば、パブリックとは、とある時間/とある場所で一時的に現れるものとも考えられます。 そうした「パブリック」あるいは「コモン」をテーマに、バルセニーラはこれまでにも多くのプロジェクトを手がけてきました。2012年から14年までは、フランス財団が主催し、ビルバオとパリで行われた「ニュー・パトロン」において、参加者が選択した都市空間や歴史を記述すること、ジェンダーや地域活性などをテーマにプロジェクトを行いました。それらは、2014年から16年までTABAKALERAを会場に、発展的なプロジェクト「Andrekale」として引き継がれました。本トークでは、「ニュー・パトロン」や「Andrekale」など、過去に手がけた事例を参照しながら、実践的行為や活動は、コモンという概念に接続可能なのか、そして、さまざまな資源や知識と並んで、どのような社会関係としてとらえることができるのか。また、アートをはじめ多くの文化活動は、パブリック(ネス)が創られる瞬間にどのような役割を果たすことができるのか、など、バルセニーラがこれまでの実践や日本での滞在での経験から生まれた問いをみなさんに投げかけます。