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[画像: 「唄おう」34x41x15cm]

田中毅 「石の歌声が聞こえる」

土日画廊
終了しました

アーティスト

田中毅
東京でもまた旅先の田舎町でも、ふらふらと歩いていて思いがけずお地蔵様や道祖神に出会う事があります。多くの場合それらはには頭に赤い帽子がのせられ、首にはよだれけが掛かっている。周囲は掃除され瑞々しい花が生けられ、清潔でいかにもご近所から大切にされているという風情のものが多いです。そして私が目にして来たものはほとんどが石で彫られたもの。おそらくは、美術としての「彫刻」という概念が民間にあまりなかった時代、神社の狛犬や灯籠や磨崖仏などを彫る石工たちによって、心からの祈りをこめて彫られたものだろうと想像するのです。さて、田中さんにおいて、口癖のように言葉にするのは、自分は路傍の彫刻家になりたい。ほら、分かれ道なんかによくあるでしょ、お地蔵さんや道祖神みたいな・・・。道行く人々には気づかれたり無視されたり、たまに花なんか手向けてくれる人がいたりして、自分の作品がそんな存在になれればいいなー、と。
田中さんの作品は植物がよく似合います。晴天の青空の下も良いが雨の中の黒御影石の濡れてしっとりとした黒もまた美しく、作品たちはより生き生きと唄い、語らい、鎮座して居るように感じる。そこにアオガエルなんかがヒョンと乗ってくれればもう何も言う事はありません。植物ばかりではなく、虫や猫や人も、田中作品にはよく似合うのです。田中さんのこの純朴とも言える心の欲求は、おそらく高校生まで暮らした宮崎/青島で育まれた感受性によるのだと思います。近くの海に潜り、海藻や貝を拾いおやつにして食べたという。今でも郷里に帰ると海で収穫した海藻の味噌漬けを作ってもってきてくれる。基本は自然児なのです。海からのイメージで生まれる架空の生命体、鳥や獣たち、作品の題材は多岐にわたりますが、共通していえることは作品全体がなだらかな柔らかい起伏で充たされているということで、田中作品の特徴であり持ち味です。穏やかな気分を醸し出しているこの特質は田中さんの心身両面に宿る感覚で、他者が真似ようとしても真似られない独特のものです。

スケジュール

2016年7月14日(木)〜2016年7月31日(日)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
月曜日、火曜日、水曜日
入場料無料
会場土日画廊
http://donichigaroh.com/
住所〒164-0002 東京都中野区上高田3-15-2
アクセス西武新宿線新井薬師前駅南口より徒歩5分、JR中央線・総武線中野駅北口より関東バス「新井薬師前駅」下車徒歩5分
電話番号03-5343-1842
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