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[画像: 児玉香織]

「lines, graph paper」

ラディウムーレントゲンヴェルケ
終了しました

アーティスト

児玉香織
児玉香織の作品は、そのタイトルにあるように、すべて方眼紙に製図用のペンで描かれた線で描かれている。 色はもちろん、筆跡の表情さえない。感情を徹底的に排除することで得られる、写実性の彼方に立ち現れる「料理線画」。 最初に児玉の作品を見た時に連想したのは、ドイツのコンセプチュアル・アーティスト、ハンネ・ダルボーフェンの数万枚のドローイングによるインスタレーションだった。一枚一枚に描かれいてるものの面白さだけではなく、それが集合体として大きなひとつの作品となった時の凄みを感じたのだ。特製の方眼紙に、下描きもそして迷いもなく淡々と描かれる線は、CGと見紛う精度をもつ。「料理本」を元に描かれたそれらの線は、料理の華やかさ(更には味、匂い、質感、栄養やら!)といったものは全て排除され、輪郭を正確に写しとりたいという、強烈な欲望だけが鮮明に表れている。欲望の反映である線は、一方であまりにも冷静であり、精緻さを象徴するような水色の直線をあざ笑うかのような独特の不安定な構図とあいまって、見飽きることがない。それだけでなく、前回までのB1サイズ、あるいは名刺サイズでみせた一種の抽象的な表現に対し、今回はB5サイズに限定し、「写真から見えたそのままの形」を追求する。そして児玉は私たちに次のように投げかける。「自分が見えたように描くのは、具象と言うのか抽象と言うのか……」児玉にとって、描くもの全てにリアリティがあるのだ。そして、その揺るぎない制作と展示スタイルは、作品の裏に小さく書かれたサインや日付を見ずとも、それが彼女の作品以外の何ものでもないことを伝えている。線の細部の絡まりを追いかけるのは、まるで出口を求めて迷路を歩いていくようでもある。モチィーフの発見はもはや無意味ではあるが、それらをつい追ってしまう我々の眼や脳に対する挑戦でもあるかのように思える。

スケジュール

2016年4月29日(金)〜2016年5月24日(火)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
水曜日、木曜日

オープニングパーティー 2016年4月29日(金) 13:00 から 00:00 まで

入場料無料
会場ラディウムーレントゲンヴェルケ
住所〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-5-17
アクセスJR馬喰町駅より徒歩4分、JR・都営浅草線浅草橋駅より徒歩4分
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