造語ながら、俳句を墨に写す、あるいは、転換することを「写句」と呼んでいます。
古典の現代語訳の逆みたいなものと思っていただいてもいいのですが、私自身、けっして書に固執するのではなく、あくまでも、墨そのものと言葉が合わさって具現化する、そのさらに先の世界を眺めてみようという気持ちから派生しています。
原則として、八ツ切サイズ(242 X 303mm)の額の中に、墨を閉じ込めています。しかし、五七五が、改行なしで見えてくる世界。日本人が為し遂げたこの俳句という短いフレーズは、墨に触れると周りの余白を巻き込み、思い掛けない光景を醸し出してくれます。同じ句でも、十回写すと、十通りの墨の場景が出現します。つまり、「写句」です。