岩井優 「親密の遠近法」

Takuro Someya Contemporary Art

poster for 岩井優 「親密の遠近法」
[画像: “Motorcycle washing,” 2016, 13m 15s, 4k video and sound, ©Masaru Iwai, Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art]

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今回発表する新作映像作品《モーターサイクル・ウォッシング》は、2016年にタイのラーチャブリー県にて当地のアートイニシアチブの招聘により、ミャンマー人移民労働者とのワークショップによって制作されました。タイでは1980年代の高度経済成長によって労働市場が逼迫したことをきっかけに、隣国のミャンマー、ラオス、カンボジアから多くの移民労働者を受け入れてきました。しかし合法的移民のみならず、違法に移り住む人も後を絶ちません。そんなミャンマーからの合法・違法移民労働者たちが集中して暮らすラーチャブリー県では、移民労働者には運転免許証を交付されていないにも関わらず、移民労働者たちは違法でバイクを乗りこなします。岩井は彼/彼女らと関わることで、コミュニティに内在する「違法」行為がより深い親密さを生むと考察します。今回、岩井は移民労働者たちをワットノンポー寺院に集め、「違法」のレイヤーが付加された彼らの愛用するバイクを洗うように指示します。ミャンマー語でおしゃべりをしながら洗浄を続けていく中、徐々にアートイニシアチブの担当者(タイ人)からタイ語で細かい指示が飛び交い始め、このプログラムがワークショップのためであるにも関わらず、やがて彼ら労働者が普段働く工場にも似た関係性へと変化していきます。一方、今回展示するもう一つの作品《ホワイトビル・ウォッシング》はカンボジアの首都プノンペンに位置する「ホワイトビル」を舞台に2012年に制作されました。元々ホワイトビルは中流家庭に向けたモダンな住宅群だったものの、内戦により住民たちは住む場を追われ、停戦後には家を持たない人々が住み始め、スラムへと化していきました。政府からの退去勧告を受けてもなおこのビルに住み続ける人々は、タイのミャンマー人労働者と同様に、こうした違法行為によってコミュニティを形成しています。岩井はこのビルで2011年から2012年にかけて2ヶ月間、住民たちと暮らしを共にする中で清掃プロジェクトを始動させます。一人がゴミを掃き出し、別の住民が床をブラッシングし始め、また別の者へと清掃の行為が伝播していき、徐々にエスカレートしていく様を岩井は映像に記録しました。しかしこのホワイトビルの建つ土地は、日本企業によって購入され、新しくビルが建設されるため、今年7月末から取り壊しが始まりました。本展では《ホワイトビル・ウォッシング》を新たなインスタレーションとして展開し、制作当時から劇的に変化していく現地の状況を再考する機会となります。《モーターサイクル・ウォッシング》および《ホワイトビル・ウォッシング》の両作で、岩井は人々の生活に入り込んでプロジェクトを実践する「参与的手法」を通し、法制度、伝統、家族関係など、さまざまなパースペクティブから各地のコミュニティを見渡します。

メディア

スケジュール

2017年09月09日 ~ 2017年10月14日

アーティスト

岩井優

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