今回展示されるのは「不詳シリーズ」と呼ばれる作品たちだ。これらは、わたしの仕事の中でも比較的最近はじまったもので今回の出品作は今年の夏以降に集中的に描かれたものである。「不詳シリーズ」はわたしにとって実験場のような意味合いがある。古今東西の様々な絵画言語の断片やちょっとした思いつきや暗号をメモのように記録する。それは常にアトリエの壁や机の上にたくさん並んでいて、眺めたりなにかの合間に手を加えたりする。それぞれの間には様々なレベルでの繫がりがある。ある性質を引き継いでいたり、それを受けて改変されたり、それぞれの間で乱反射するように関わりあっている。いたずらに複雑な過程を経てそれらは作られる。それぞれがそれぞれの断片であり、拡大したものでもあり、縮小したものでもある。制作というより生成という言葉がふさわしいだろう。半透明のゼリー状の膜に柔らかい結晶の角を培養するように。(梅津庸一)
本展は TOKYO ART BOOK FAIR 2017の会期に合わせて開催される特別ミニ個展であり、小西紀行展と同時開催となります。