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大山エンリコイサム 「Black」

Takuro Someya Contemporary Art
終了しました

アーティスト

大山エンリコイサム
エアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモチーフ「クイックターン・ストラクチャー」を軸に展開される大山エンリコイサムの絵画は、白と黒を中心としたモノトーンの世界を基調としています。一般的なエアロゾル・ライティングのポップでカラフルな表現とは対照的なこの色彩の欠如は、大山作品にどこか禁欲的で、張りつめた印象を与えるかもしれません。「かたちなら感覚的に判断できる。色だとそれができない。それに色はかたちの運動を相対化してしまう」―作家のこの言葉から伝わるのは、色彩の放棄もしくは白黒への還元が、造形とそこに現象する運動をより強調するために選択されていることです。無彩色であることは、身体の運動から生まれる線を用いつつも、アクションの「痕跡」ではなく、そのつど鑑者の眼に運動が再生される速度の「表象」を構成しようという大山の実践の根幹と、密接に結びついています。以上を踏まえると、じつは「白黒」という表現も適切ではありません。「白黒」や「ブラック&ホワイト」という語句は、色彩の放棄という切り詰めによる運動の先鋭化であるものを、「彩度のない色」つまり無彩色と呼ぶことで、ふたたび色の領域に回収してしまうからです。その結果は、白と黒という二項対立の世界、あるいはラベル化された色の分類の世界です。ゼロが数のない数として数列に組みこまれるように、白黒という概念もまた、色なき色としてみずからを色環に登録します。本展のタイトル「Black」は、白黒やブラック&ホワイトという二項対立の枠組みを逃れ、規格化された色のパレットを逸脱しながら、黒そのものがもつ潜在力に私たちの注意を促しています。ここで白と黒は、対極するふたつのカラーではなく、白い空間のうちに黒いかたちが広がるように、図と地の関係性に置き換えられるような造形的イディオムとして扱われようとします。「Black」は、人の根源的な表現欲求である「かく」行為と同義であり、生成・運動・速度・拡張といった感覚を直接に想起させるものになる―作家は、タイトルにそうした意図を込めたと述べています。2011年にアジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在以降、大山は同地を拠点にアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど各地で個展を中心にプロジェクトを行なってきました。2017年にはアメリカで初の美術館個展「ユビキタス̶大山エンリコイサム」(マリアンナ・キストラー・ビーチ美術館、カンザス)が開催されたほか、個展「ウィンドウシル」(ルミネゼロ、東京)では約1週間の会期に1200名以上が来場して注目を集めます。また、主著『アゲインスト・リテラシー̶グラフィティ文化論』(LIXIL 出版、2015)の刊行に続き、雑誌『美術手帖』2017年6月号ではエアロゾル・ライティング文化の特集を企画・監修するなど、旺盛な執筆活動も手がけています。現在は文化庁新進芸術家海外研修制度の助成を受け、引き続きニューヨークで2年研修に取り組みながら、2019年以降の個展や著作の準備も進めています。本展は、「プレゼント・テンス」展(2016)に続く、弊ギャラリーでの2回目の大山エンリコイサム展です。「ユビキタス」展で初展示された《FFIGURATI #162》《FFIGURATI #163》の2点を含む大型作品3点および、中小サイズの新作18点を加えた計21点の絵画作品によって構成されています。いずれも、日本国内では初の展覧となります。大山作品の画面に束ねられた、かたち・運動・モノトーンの連動する強度を、この機会にお楽しみください。

スケジュール

2018年11月22日(木)〜2018年12月22日(土)

開館情報

時間
11:0018:00
金曜日は20:00まで
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2018年11月22日(木) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttp://tsca.jp/ja/exhibition/enrico-isamu-oyama-black/
会場Takuro Someya Contemporary Art
http://tsca.jp/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F, 5F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6804-3018
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