固定された価値観の中で「評価をする」という行為から生まれる違和感に着目した。この世の中は、たくさんの小さな社会の重なりでできている。その社会の中では、しばしば固定された価値観にとらわれ、社会を構成する一員はその社会の価値観によって判断される。個人が望む望まないに関わらず、組み込まれた社会組織の中で、いつの間にか私たちは評価されカテゴライズされる。そしてまた私たち自身もその行為を繰り返す。こうした社会構造の中では、多面的な視点を持った価値基準は生まれない。また、相手を認めようとする余裕も生まれないのではないだろうか。知らないということへの恐れから生じる価値付けの構造は、近代以前から続いてきた。この知らないを知ろうとするためには、価値付けに対して違和感を抱く必要があるのだ。本展示では、特にこうした価値付けを行う場としての教育現場を舞台に作品を展開していく。今日の学校教育は、教師もメディアも親も、多様な価値観を育む役割として、機能は十分とは言えないだろう。個人の自由な成長と社会の調和と存続。このバランスを今後どう保っていくべきなのか。こうしたテーマを、評価をする基準や構造の曖昧さに着目しながら、ユーモラスで皮肉のきいた作品として表出させていく。
会場:gallery conceal space C