この展覧会では、映画、音楽、演劇、パフォーマンス、ビデオ・アートによる表現を行ってきたジャン・サダオがアムステルダムで開催された「The Body Link」展にて初上映した最新ビデオ・アート作品『The multi-sensory Impossibility of a Worm』に、本展のために新たに写真、ドローイングによる表現を追加した形で再構成されます。ビデオ作品は、身体、感覚の可能性とその限界について問いかけ、普遍性と自然性にアプロ―チするコミュニケーションの手段として、普通ではない触覚的、身体的言語の仮説を確立しています。同時に展示される小さなサイズの写真やドローイング群は、ビデオ作品のイメージから取り込まれたもので、まるでビデオのスクリーンから飛び出し、広がり、ギャラリーに浸透しているかのように配置されます。ビデオは最後に終わりが来ますが、写真やドローイングは終わったり、消えたりするものではないという前提があり、空間や時間そのものを超越するように配置されることで、より明確にビジュアルメモリとして観る者に訴えかけます。ドローイングは、我々のDNAによって決定される「手相」にインスパイアされた形と影のグラフィックマッピングという手法を使い、写真を再表現し、私たちのアイデンティティの独特で不可解な面を表現します。つまりビデオ作品により、人間のコミュニケーションシステムと構造の混乱について問いかけをし、ドローイングにより、視覚的また比喩的な認識を変えるイメージを繰り返し、再構築を試みるのです。
『The multi-sensory Impossibility of a Worm』ビデオ・アート上映、写真、ドローイングの展示のほか、展示期間中にジャン・サダオの他のビデオ・アート作品上映とトークイベントも行われます。