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「キキ・スミス Implosion −身体、そして星− 」 展

ギャラリー キドプレス
終了しました

アーティスト

キキ・スミス
キキ・スミスは、1980年代より身体やフェミニミズムに纏わる彫刻家として名を馳せ、現代美術を語る上で欠かすことができないアメリカを代表する女性アーティストです。同時に、彼女のアーティストとしての創作活動の中で重要な位置を占めていたのが版画制作でした。2003-4年にはニューヨーク近代美術館クィーンズ(MoMA QNS)にて、革新的な版画家としてのキキ・スミスの側面を紹介する大規模な展覧会 Kiki Smith: Prints, Books, and Thingsが開催されるなど、版画家としてもその地位を確立しています。本展では2018年4月に仕上がったばかりの注目の新作版画『Catchers I-IV/捕えるもの1-4』(2018)を日本の皆さまに逸早くご紹介するとともに、2012年にキドプレスより出版した5枚1組の版画集「Puppetry/あやつり人形」(2012)、1990年代にULAE(Universal Limited Art Editions)で制作した記念碑的な大作「Kiki Smith 1993/キキ・スミス1993」(1993)と「Worm/虫」(1992)を展示いたします
。「『Catchers /捕えるもの』の作品は、もう片方を握ろうとする手による小さな動きとして作られました。それぞれの関節には星が刻まれており、両手が交わるところで偶発的に星座を作り出します。「Puppetry/あやつり人形」もまた小さな動きの瞬間を捉えた作品です。」—キキ・スミス 2018 *。新作版画4点の『Catchers /捕えるもの』(2018)は、手描きで描かれた両手のドローイングをフォトグラビュールにより光を利用して版にイメージを刻んでいます。キキ・スミスは、元々、サイアノタイプ(青写真)やコンタクトプリント(密着印画)を制作するためにアクリル板に両手を描いていました。その後、それらをフォトポリマーで作ることを思いついたという過程を踏み今回の版画制作に至っています。また、精密で緊張感のあるシャープで強い描線が現れるエングレービングの特徴を活かし彫られた星の線は、煌めきのごとく美しいです。このように、熟知された版画と写真製版の技法を厳選、駆使した新作『Catchers /捕えるもの』は、洗練された現代版画の一品と言うことができるでしょう。 一方、版画集「Puppetry/あやつり人形」(2012)は、フォトポリマー・プレートが用いられ、刷りの工程で生じる偶然性を伴った視覚的なノイズが面白く、作家自身もその点を気に入っていると語る作品です。「Automation(機械仕掛けの人形)の動きが、魔術や自然界を超えた何がしかの力によって導かれ生まれる動き、あるいは動かされている様子のようで、それを意図的に暗示して、版画集を『Puppetry/あやつり人形』と名付けました」とキキ・スミスは制作当時に語っています。モノクロームの新作版画『Catchers /捕えるもの』とは対照的に、作家の視点で切り取られた身体の部分とそれに呼応するモチーフが、コラージュや写真をもとに色鮮やかに表現された版画集「Puppetry/あやつり人形」も併せてお楽しみください。
また、今回展示する1990年代の大作2点、自身の消化器官をモチーフに皮膚をも彷彿とされる手漉き和紙を用いた185×93cmに及ぶ作品「Kiki Smith 1993/キキ・スミス1993」(1993)、セルフポートレート写真と紙の手芸的な面を構成要素とした画期的な版画作品「Worm/虫」(1992)は、「現代アメリカ版画の40年−巨匠たちと版画工房ULAE」展(セゾン美術館,1998)に出品以来、日本では約20年ぶりの一般公開となり、貴重な機会にもなります。「版画の制作は複数性と唯一性の対峙である。版画制作は、版画が私たちは人間であるという事象を象徴するかのように、私たち全員が全て同じであり同時に全員が異なるということを表し、そこに私は興味を抱く。」—キキ・スミス 1998 *2 。

スケジュール

2018年5月5日(土)〜2018年6月10日(日)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、火曜日
入場料無料
会場ギャラリー キドプレス
http://www.kidopress.com/
住所〒102-0074 東京都千代田区九段南3-3-3 ヨコヤマビル 1F
アクセス都営新宿線・東京メトロ南北線・有楽町線市ヶ谷駅A4出口より徒歩6分
電話番号03-5817-8988
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