今展では、鴻池朋子はアニメーション作品「ミミオ-オデッセイ」と「ミミオ- Four Seasons」を、ニンケ・コスターは、日本で初めての発表となった東京都庭園美術館でのグループ展『装飾は流転する−「今」と向き合う7つの方法』に出展した作品「オランダのかけはし」を展示致します。鴻池の両アニメーション作品は、鉛筆で描かれたドローイングが幾重にも重なることで出来上がる作品であり、「手から発想を得る」と鴻池が語る通り、彼女自身の発想が積み重なり出来上がったものとなっています。顔も性別もないミミオがストーリーテラーとなり、様々な冒険へ観客を導く姿は、神話的なインスタレーション作品や絵画作品の始まりを感じさせるものとなっています。また、今年1月に訪れたラップランドで、偶然、狼と遠吠えでダイアログをしたという鴻池の姿を収めた映像作品も合わせて展示する予定です。この作品を通して、アニメーション作品を制作した当時から鴻池の思いが、現在の作品にも脈々と受け継がれていることが伺えます。ニンケ・コスターは、オランダ出身で、空間をコンセプチュアルに見るというコンセプトのもと、卒業制作から現在に至るまでシリコンラバーを使い、触れることができる作品を中心に、制作を続けています。昨年、ニューヨークで開催した個展を機に自国オランダの歴史と文化を客観的に見つめ、それを作品にするようになりました。今展で展示する作品も、日本とオランダの歴史を遡り、自身が見た日本の風景、日本の美を形にしました。緩やかにカーブした部分は、日本とオランダの歴史の象徴でもある出島を象り、その中央には、オランダの国章であるライオンがあしらわれています。一方、大きな円形部分は、自身がオランダで訪れた日本庭園にある日本家屋独特の様式、円窓を象っています。その中に、日本の伝統的な柄をあしらうことで、伝統と文化の美しさを表現しています。それは、円窓から見る日本庭園の四季折々の美しさを想起させ、そこに実際に座ることでその美しさに触れることができます。