ペロタン東京はこのたび、ブルックリンを拠点に活動するアーティスト、エディ・マルティネズの個展を開催いたします。本展はマルティネズのアジア初、そしてペロタン初となる個展です。マルティネズは1977年に生まれ、美術学校にはごく短期間のみ在学したため、実質的には独学のアーティストです。その後、2005年に初の個展を開催しました。マルティネズのペインティングは伝統的な手法と型にはまらない手法を交差させながら、シルクスクリーン、スプレーペイント、ときにはガムの包み紙やウェットティッシュを用いて、たびたび油絵具とエナメル塗料の層を重ねて制作されています。マルティネズのやや恣意的な素材と題材の選択は、現代文化のゆとりや軽さを具現化していると捉えることができると同時に、その実践は抽象表現主義、新表現主義、CoBrA[1]などの歴史的ムーブメントの要素をも示しています。当初は、大きな目のキャラクター達を描いた象徴的な具象画によって称賛を得たマルティネズですが、最近では、主に“期待される製品”の概念から逃れるために、抽象化の探究に注力しています。「Blockhead Stacks」と題された本展では、マルティネズの作品に繰り返し見られるスカルのモチーフを探索した一連のペインティングやドローイングを発表します。マルティネズは、その歯に衣着せぬ動的で特徴的なスタイルを用いて、作品の表面下に重ねられた色や筆の痕跡をあえて見せ、遊び心のある視覚的奥行きを生み出しています。また、ペインティングの習作として描かれた一連の小さなドローイングも本展の見どころの一つです。近年、マルティネズの個展はThe Drawing Center(ニューヨーク)や ウェルズリー大学・Davis Museum(マサチューセッツ)などにて開催され、また、グループ展として「New York Painting」Kunst museum Bonn(ボン、2015)、「Body Language」The Saatchi Gallery(ロンドン、2013–2014)、「New York Minute」Garage Center For Contemporary Culture(モスクワ、2011)、「Mail Orders and Monsters」Deitch Projects(ニューヨーク、2007)、「Panic Room: Works from theDakis Joannou Collection」Deste Foundation Centre for Contemporary Art(アテネ、2006) などに参加しています。さらに、マルティネズの作品はThe Saatchi Collection(英国、ロンドン)、 Hiscox Collection(英国、ロンドン)、La Colección Júmex(メキシコ、メキシコシティ)、The Marciano Collection(米国、カリフォルニア州ロサンゼルス、The Morgan Library(米国、ニューヨーク)、ウェルズリー大学・Davis Museum (米国、マサチューセッツ州ウェルズリー)などに収蔵されています。なお、現在Bronx Museum of the Arts(ニューヨーク)においてもマルティネズの個展「White Outs」を開催中です。同展では“抹消”をテーマにした一連の新作を展示しており、会期は2019年2月17日までとなります。