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[画像: 鴻池朋子「走るうさぎ」]

鴻池朋子 「Little fur anger」

ギャラリー キドプレス
終了しました

アーティスト

鴻池朋子
本展では、鴻池によって制作されたドライポイント(銅版画)とカービング(板彫刻)の、ふたつのアプローチからなる新作を発表いたします。
ドライポイント作品は、鴻池が昨年担当した朝日新聞朝刊の朝日歌壇俳壇の挿絵「どうぶつのことば」(2017 2/6~4/26)より作家本人が選出し、新たに刷り師とともに試行錯誤を重ねて生みだされたものです。黒色と孔雀の首の羽毛に見られる鮮やかな青色(ピーコックブルー)の2色を同じ版で連続して2回刷るという行程を踏み、その為に生じる微細のズレは、版画上に現れた動物や昆虫たちのささやかな命の蠢きや騒めきを醸し出します。また、針で押し出されたドライポイントの銅の笹くれや捲れを生かして刷ることで、にじみのあるような繊細な線が、まるで生きものが柔らかい産毛をまとうような質感とともに現れました。
また、このようなドライポイント作品と同時に進められていたのが、平らな板の支持体に彫刻刀で線刻を施したカービング(板彫刻)作品の制作です。 2年前に木版画を初めて彫った時、鴻池はその印板である板の方に強い魅力を感じました。鉛筆で板に描かれた下絵が、彫刻刀によってどんどん削られ、絵画のイリュージョンがダイナミックに破壊されていく興奮を味わい、今回その体験の記憶をもとに作品をつくりあげました。
「ものをつくる、ということは私にとって、物質/マテリアルとの出会いです。その物質と自身の身体がどのように摩擦エネルギーを起こすかによって作品が現れてきます。ですから何を描くかという言語的なもの以前に、この地球に存在する物質を手触りし、匂いを嗅ぎ、その声を聞きとるようなことが、どのような作業においても重要になり、そして、出会った物質それぞれの“原型”のようなものを、なぜか、突きとめようとします。銅板という物質を「ニードルで引っ掻き、傷をつける」ことで「黒く毛羽立った動物や昆虫」が出現し、木板を「刃物で深く彫る」ことで、木の内部から新たな光が現れる。制作中、その表皮のような表面を幾度となく触ることは、生まれたての生きものが初めて地上で身震いし、小さな生命の怒りを起こしているようで」と鴻池は語り、タイトル『Little fur anger』(小さな毛皮の怒り)が、誕生したのでした。

スケジュール

2018年3月7日(水)〜2018年4月15日(日)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、火曜日
入場料無料
会場ギャラリー キドプレス
http://www.kidopress.com/
住所〒102-0074 東京都千代田区九段南3-3-3 ヨコヤマビル 1F
アクセス都営新宿線・東京メトロ南北線・有楽町線市ヶ谷駅A4出口より徒歩6分
電話番号03-5817-8988
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